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研究会報告 A-TS 01-10 応用ウェーヴレット研究会
榊原進 主査 いわき明星大学
ウェーヴレットは1980年代から信号の時間・周波数解析を与える新しい手法として注目を集め、驚くべき勢いで研究されたが、いまや、数学と信号処理を初め、さまざまな分野を横断的にカバーする一般的な概念となった。数学的な枠組みとしては、フーリエ解析の局在版と見ることもできるが、信号解析の観点ではデジタルフィルタの設計手法と見ることもできる。厳密な数学的背景の基に、多様でかつ極めて有効な信号処理を実現する。
応用ウェーヴレット研究会は、機械工学におけるウェーヴレット応用の普及を目標に1996年4月にスタートし、同年6月に第1回の研究会を行った。当時すでにウェーヴレットという名称はある程度知られていたが、文献も数学指向が強いものが多く、その数も限られていて、実際の応用事例は少なかった。そこで本研究会では、関連するパラメータやアルゴリズムの理論的な側面よりは、それを実際にどのように使うか、それによってどのような結果が得られたかなどの実践的側面に焦点を当てて、応用事例の紹介とディスカッションを行ってきた。また、別の学会や研究会でのオーガナイズドセッションも企画されたし、数学、建築、信号処理などほかの分野のさまざまな話題も提供された。
この数年の活動を通して、ノイズ除去、異常診断、過渡現象の解析などにウェーヴレットが有効であることがわかった。当初よく議論の対象となった、ウェーヴレットの種類による影響はこれらの応用において必ずしも大きくはない。しかし、これまでの議論では解析対象のごく一部しか紹介されておらず、機械工学におけるウェーヴレットの活躍の場はさらに広がると思われる。
研究会はメンバーを中心に年数回開かれているが、希望者はそのつど自由に参加できるようなフレキシブルな運用がされている。参加者の分野も数学から物理学、建築、音声信号処理など多様で、このため、異なる分野から見るとたいへん奇抜なアイデアも知ることができる。機械工学での応用がテーマという世界でも数少ないユニークな研究会として、初心者から専門家まで幅広い研究者に、ウェーヴレット理論と応用との架け橋を提供する役割を果たしている。
前回の第15回研究会(2000年6月30日)では、以下の話題提供があった。
1. 章 忠(岡山県工業技術センター)「RI-Spline ウェーブレットおよびその非定常信号解析への応用」
2. 増田新(京都工芸繊維大)「ウェーヴレット解析による打ち抜き金型のモニタリング」
3. 川田昌武(名古屋工大)「ELF 電磁界曝露後のヒト脳波のウェーブレット解析による影響評価」
また、東大大学院数理の山田道夫氏を代表とする文部省科学研究助成費による研究活動の一環としての「応用ウェーブレット解析研究会」を協賛しており、それらの成果の一部は日本IBM(株)の小林メイ氏によって SIAM Journal にも紹介され、さらに書籍としてまとめられてもいる。本年度も、11月下旬に「第4回応用ウェーブレット解析研究会」が予定されている。