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分科会報告P-SC316量子・分子モデルの熱流体工学への応用
新美智秀 幹事 名古屋大学
先端技術において重要な種々の流れ場の本質的な理解には、量子・分子レベルから調査することが求められ、RC-118研究分科会『希薄気体力学とその先端技術への応用』およびP-SC263研究分科会『原子・分子の流れ解析に関するデーターベース調査研究分科会』を設置し、鋭意検討を重ねてきた。これらの成果を踏まえて、平成11年4月にP-SC316研究分科会『量子・分子モデルの熱流体工学への応用』(主査松本洋一郎 東京大学教授)を発足させた。本分科会では、さらなる微細化が要求される半導体製造プロセスやマイクロマシン技術、量子・分子レベルから解明が必要な環境問題等のシーズを掘り起こすとともに、これら熱流体現象を解明するための量子・分子モデルの開発および応用を目的とし、大学側研究者23名、企業側研究者13名から構成されている。主な調査研究項目は、半導体製造プロセスの量子・分子レベルからの計算手法、量子・分子動力学法(QMD)を利用した面分子干渉の解析、マルチスケール・ダイナミクスによる巨視的現象の本質的理解、電離気体、化学反応の制御、環境科学における光と物質の相互作用を利用した計測技術、超高真空環境の設計手法等である。
これまでに研究分科会を4回開催し、以下のような報告が行なわれた。
1.松本洋一郎主査「非平衡希薄気体流れのマルチスケール解析」:非平衡希薄気体流れの量子力学、分子動力学、統計力学、連続体による解析法をリンクしたマルチスケール解析についての解説と結果の報告。
2.新美智秀幹事「超希薄気体流のレーザー計測」:レーザーによる希薄気体流の解析手法の紹介と超希薄気体流を対象とした共鳴多光子イオン化法についての実験設備の解説と結果の報告。
3.南部健一委員「プラズマプロセシング用TCADの開発に向けて」:半導体デバイスの設計において、低ガス圧化、プラズマの高密度化、低電子密度化、地球に優しいガスの利用、装置の単純化に関連して、実験では得られない情報を得るためのTCAD(Technology CAD)の紹介、今後の研究課題の提案。
4.福井茂寿委員「分子気体潤滑とそのマイクロメカニズムへの応用」:磁気ディスク装置の磁気ヘッドに関連した分子気体潤滑(MGL: Molecular Gas film Lubrication)の紹介、この解析へのMGL解析法とモンテカルロ法の相補的利用の提案。
5.霜垣幸浩特別委員(東京大学助教授)「Giga Scale Integration多層配線用メタルCVDプロセスの解析」:ULSIのCVDおよびエッチングプロセスの現状説明、表面における反応機構の反応中間体も含めたモデル化、製膜速度やステップカバレッジなどの実験結果との比較による反応速度の解析手法の紹介。
6.宇佐美勝委員「超音速希薄自由噴流のDSMC計算(高圧力比噴流と星型噴流)」:オリフィスから真空中へ高圧力比で噴出する超音速自由噴流のDSMC法によるシミュレーション法、オリフィスから遠いブロックほど時間ステップを増加させる方法の提案、星型オリフィスから流出する超音速自由噴流の特徴的な流れ場構造の報告。
7.丸山茂夫委員:「炭素単層ナノチューブによる水素吸蔵の分子動力学シミュレーション」:車載用燃料電池の水素供給源として注目されている単層炭素ナノチューブ(SWNT)の生成法と種々の構造の紹介、分子動力学法を利用した種々の幾何学形状を有するバンドル状のSWNTによる水素吸蔵に関するシミュレーション結果の報告。
8.池川正人委員「プラズマエッチング装置内のガス流れ」:半導体薄膜形成プラズマエッチング装置の装置開発におけるシミュレーションを利用した開発期間短縮の現状、有限要素法による高周波平行平板電極型のプラズマ装置のシミュレーション結果の報告。
これらの研究報告に加えて、2000年次大会(名城大学)および流体工学部門講演会(室蘭工大)では、それぞれオーガナイズド・セッション「熱流体現象の原子・分子的アプローチ」および「熱流体現象への分子論的アプローチ」を企画、開催し、有意義な討論が行われた。