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新刊書紹介 機械設計における有限要素法の活用
チャールズ E.ナイト著、酒井信介訳
森北出版(株)1997年10月
定価6、600円(FEMプログラムフロッピーディスク付)
CAEの世界の最近の動きの一つは、大衆化である。従来、CAD(コンピュータによる設計・製図)は、CAE(コンピュータによる解析)と独立していたが、最近では両者が融合される傾向にある。そうなると、必ずしも解析に堪能でない設計者や製図担当者も解析をやらざるを得なくなる。ここで、CAEの大衆化が重要となる。本書は、このような最近の傾向を背景に著わされたものと考えられる。
有限要素法プログラムは、マニュアル通りにデータを揃えれば何らかの答はコンピュータが与えてくれる。しかし、問題は、原著者も述べている次の言葉である。『有限要素法というツールの使用によって、正しい結果が得られることが保証されるわけではない。これは、理論的特性の近似を用いた数値技法である。正しい結果を得るためにはモデルが正しく設計されなければならず、数値的な収束に到達しなければならない(コンピュータプログラムがエラーを起こすことがないという仮定のもとに)。したがって、正しい結果が得られるかどうかは、このツールを使うユーザーの能力に基本的に依存している。工学計算の近似を行い、良い設計を実行し、工学的判断を問題に適用するためには、エンジニアの責任が重要であり、これにとって代わるものはない。その代わりに、これらの技術を磨くことによって、最適な設計が得られることが保証される、という代償が得られる。』
この“代償”をエンジニアが獲得するには、詳細でわかりにくい有限要素法の理論というよりもある種のエッセンスやノウハウを最低限学んでおく必要がある。本書はまさにこのような目的で書かれている。すなわち、有限要素法を使うという立場で書かれたものとも言える。
なお、本書の訳者は東大工学部で長年、有限要素法の研究をなされているこの方面の第一人者であるが、特にこの数年CAE教育にも力を注いでこられている。この点から、本書の訳者として最適任者と言えよう。
上述のように、本書は、設計者などに代表される有限要素法のユーザー、さらには、有限要素法を教える立場にある大学などにおける教育者にとって有益なものと感じられた(因みに、本書にはFEPCと呼ばれるIBMまたはIBMコンパチブルマシン上で動く有限要素法プログラムのディスクが附属している)。
(東京大学大学院工学系研究科 矢川元基)