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部門業績賞受賞にあたって
坂田信二
株式会社日立製作所機械研究所
この度は、計算力学部門より業績賞を頂き、大変恐縮しております。私と計算力学部門との関係は古く、1987年に機械学会が部門制になり、計算力学部門が発足するとき、初代の部門委員長になられた矢川元基先生や三好俊郎先生(2代目の委員長)に声をかけて頂き、運営委員として参画することとなりました。その後、8年間、運営委員として微力ながら、部門の活動のお手伝いをさせて頂きました。この間、スーパーコンピューティングに関する講習会などの企画・運営を手がけさせて頂いたことなど、当時のことが懐かしく思い出されます。今回の受賞は、この8年間の運営委員に対する「慰労賞」かとも思いましたが、松本先生(前部門長)より、選考委員会の方々の厳正なる審査の結果、私の受賞理由は、構造解析手法の産業分野への適用と貢献に対するものというお話を伺いました。
私の計算力学との関係は、大学の修士・博士課程時代からで、当時1970年代は、有限要素法も定着し、大学や企業で盛んに使われるようになった時代です。ただ、非線形問題と言えば、弾塑性解析法として山田義昭先生の理論が唯一のもので、先生の理論を懸命に勉強したことを覚えています。日立製作所に入社してからは、発電プラント、特に原子力発電に対する期待が大きい時代で、新型炉の設計では、高温時のクリープによる非弾性ひずみの評価や、軽水炉の想定事故を考えた非線形破壊力学を用いた安全性の評価解析に従事し、私の非弾性構造解析の知識はこの時期に大いに深まったと思います。その後、半導体の高集積化が進むにつれて、製造プロセスで発生する応力が電気的特性に与える影響が問題になりつつあり、これまで、機械系の技術者の出番の少なかった半導体前工程プロセスの酸化、成膜プロセスシミュレーションを手がけることになりました。以上の、私が研究開発の対象としてきた分野は、計測技術や、実験に要する時間、安全性、コスト等の面から、実験的に評価することが難しい分野であり、そのため、計算力学による数値実験のニーズが高く、従って、その結果に社内外から注目を頂いたものと考えます。また同時期、日立は、ベクトル演算型スーパーコンピュータHITAC S-810、820を世に出し、私はユーザの立場でベクトル演算に適したプログラムを開発し、半導体の大規模な解析に適用することができた点は幸運でした。最近は、並列演算型スーパーコンピュータが登場しており、これからの計算力学分野発展の牽引車となっていくものと期待しております。
これまでの私の計算力学に関する研究開発の歩みの中で多くの方々に支えられ、今回の受賞に至ったと思います。三好俊郎先生(東海大教授)、尾田十八先生(金沢大教授)、白鳥正樹先生(横浜国大教授)には、遠くさかのぼって、学生時代から今日に至るまでご指導頂いております。日立社内においても、清水翼氏(日立製作所 電力・電機開発本部長)、斉藤直人氏(日立製作所 機械研究所主任研究員)他、多くの方々のご支援や協力を頂いており、感謝致しております。
最後になりますが、若い研究者たちが魅力を感じる部門作りに微力ながら、これからもお手伝いしたいと考えています。