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1997年計算力学部門賞贈賞報告
松本洋一郎
計算力学部門賞選考委員会委員長
東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻
本部門では1990年度より功績賞、業績賞の2つの部門賞を設け、計算力学の分野で功績、業績のあった個人を対象に贈賞している。功績賞は、計算力学における学術、教育、学会活動など幅広い功績に対して、業績賞は計算力学の分野での顕著な研究・技術開発に対する貢献に対して与えられるものである。
今年度の部門賞の選考経緯と結果を以下に報告する。
部門賞候補者として推薦のあった方々について、選考委員による慎重審議の結果、功績賞4名、業績賞2名を選出し、運営委員会に諮り了承を得た。今年度は機械学会創立100周年であることも勘案して、合計6名の方々に贈賞する事となった。
功績賞は、山本善之東京大学名誉教授、小林敏雄東京大学教授、白鳥正樹横浜国立大学教授、Tayfun Tezduyarミネソタ大学教授の4名の方々、業績賞は日立製作所・坂田信二氏、日産自動車・姫野龍太郎氏の2名の方々に贈られた。
山本善之名誉教授は、船体構造、建築物、橋梁、航空機などの応用解析法として近年広く用いられている有限要素法に関し、その萌芽期から理論的研究に取組み、特に数値計算に伴う誤差の性質について多くの貢献をしたこと、計算力学関連の国際会議を数多く主催し活発な学会活動を行ったことなどが高く評価された。
小林敏雄教授は、数値流体力学の発展と普及に尽力し、なかでもLES(Large Eddy Simulation)による乱流数値解析に関し、合理的な乱流モデルの開発と高速高精度計算手法の開発を行い、非定常複雑複合乱流場の計算を可能にするとともに、これらの普及に努めた。この分野で優れた研究業績をあげるとともに、産業界における応用にも多大の尽力をしたことなどその功績が高いことが認められた。
白鳥正樹教授は破壊力学分野にFEM等の数値解析手法を応用し、いわゆる数値破壊力学と言われる新しい分野を開拓した。またこの分野を進展させIC、LSI等の強度評価法の確立や、さらに界面問題解決のための新しい計算力学的手法の発展につくしていることが高く評価された。また、活発な学会活動が高く評価された。
Tayfun E. Tezduyar教授は、並列計算機を活用したハイパフォーマンスコンピューティングの分野で大きな功績を挙げており、数値熱流体力学、数値環境工学など多くの分野において大規模計算を行い、それら現象の解明に多大の業績をあげるとともに、機械工学の応用分野の計算を行い、この分野の発展と普及に尽力した功績は大であることが認められた。
坂田信二氏は、これまで大規模構造物に対する応力・ひずみ解析にFEM等の計算力学的手法を有効に利用する理論研究およびそのコンピュータシステムの開発を進めて来た。その利用範囲は原子力関連機器からIC、LSI等の広範囲で実用的に重要なテーマに及んでおり、特にIC、LSIの複雑な製造プロセスに対応してどのような応力、ひずみ場が順次発生してゆくのかを詳細に把握できる解析システムを開発していることなどが評価された。
姫野龍太郎氏は、車両まわりの数値シュミレーションを通じて、数値流体力学技術の実用化に多大なる貢献をしてきた。格子形成プログラムの開発、可視化プログラムの開発、それらを利用した大規模シミュレーションなどによって多くの研究成果をあげていることが業績賞を授与するのにふさわしいと認められた。
以下に今回受賞された方々の略歴を紹介する。
山本善之名誉教授略歴
1945年 東京大学工学部卒業
1947年 東京大学工学部講師
1948年 東京大学工学部助教授
1959年 東京大学より工学博士号を授与
1964年 東京大学工学部教授
1984年 東京大学名誉教授
1984年 横浜国立大学工学部教授
1985年 東京電機大学理工学部教授
小林敏雄教授略歴
1970年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了
1970年 東京大学助教授 生産技術研究所
1986年 東京大学教授 生産技術研究所
1996年 東京大学教授 国際産学協同研究センター
白鳥正樹教授略歴
1971年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了
1971年 横浜国立大学工学部機械工学科講師
1972年 横浜国立大学工学部機械工学科助教授
1984年 横浜国立大学工学部生産工学科教授
Tayfun Tezduyar 教授略歴
1982 Ph.D., Mechanical Engineering, California Inst. Tech.
1983 Assistant Professor, Mechanical Engineering, Univ. Houston
1987 Associate Professor, Aerospace Eng. and Mechanics, Univ. Minnesota
1991 Professor, Aerospace Eng. and Mechanics, Univ. Minnesota
1994 Director, AHPCRC, Univ. Minnesota
坂田信二氏略歴
1971年 金沢大学工学部機械工学科卒業
1976年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了
1976年 (株)日立製作所入社
1995年 (株)日立製作所 機械研究所第4部部長
姫野龍太郎氏略歴
1977年 京都大学工学系研究科卒業
1978年 京都大学大学院工学系研究科博士課程修了
1979年 日産自動車(株)入社 中央研究所へ配属
1984年 文部省宇宙科学研究所 受託研究員
1988年 東京大学より工学博士号を授与