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?情報文化学?
峯村吉泰
名古屋大学情報文化学部自然情報学科
名古屋大学でも、大学設置基準の大綱化に伴う大学改革に より、一般教育の担当部局である教養部を廃止し、全学的な「4年一貫教育委員会」が一般教育を推進する責任を担うことになり、これに伴って独立大学院「人間情報学研究科」が1992年度に、「情報文化学部」が1993年度秋に発足した。この1月現在では、第1期生の学部生は3年次に進学しており、第1期生の大学院生の中から昨年夏には博士が誕生し、この3月末をもって大学院は完成年次を迎える。情報文化学部所属の全教官は、大学院人間情報学研究科の兼担講座の教官を兼ね、教育と研究に邁進しているところである。
ところで、情報文化学部とは何をするところでしょうか?最近相次いで発足する新学部や新学科の中にも情報をキーワードにしたものが多く見受けられる。いずれも、情報処理に関連した計算機リテラシーを学部の初期段階で集中的に学ばせ、これからの高度情報社会のパラダイムの変換に対応できる能力を身につけさせ、情報を軸に新しい学問分野を開拓し、現代社会が直面する様々な閉塞感を打破しようとしている点で共通性がある。情報文化という学部名称からして文系のように受け取る向きも多いが、理系の自然情報学科と文系の社会システム情報学科の2学科(学生定員各50名)で構成されている。自然情報学科には、従来の個別科学でいう、数学、物理、化学、生物、自然環境、および情報・工学を専攻してきた教官からなる6つの大講座があり、情報を切口にして既存の個別学問分野を把握し直し、人間の知的創造力を高めるという文化発展の視点に立って、より広い情報に関するソフトサイエンスの確立を目指している。より端的に言えば、情報化時代のliberal artsの確立を目指していると言えよう。
この情報文化学部には、計算力学部門に所属する工学系教官が、私の他に、神谷紀生教授、渡辺崇助教授、内山知実助手の3名がいる。この部門の活動にはとりわけ若手研究者が関心を寄せているようなので、ここでは若手教官の研究内容を重点的に紹介させて頂く。
渡辺助教授は、これまで、軸流中で回転する円筒上に発達する境界層の剥離現象に現れる数値的特異性の解析、および、流体力学・水力学の問題解決への知識工学的アプローチの可能性を調べてきている。また、無限の空間領域をもつ流れを扱う場合に問題となる境界条件について、工学部の中村教授、吉田助手と共同で研究を進めてきている。これらに加えて、最近では、有限長さの円筒のテイラー渦において実験的に明らかにされている流れのモードの種類、安定性について解析を行ない、特に、円筒角速度が減少・増大する非定常な現象に注目し、各種の2次モードから主モードへの遷移の定性的・定量的過程について調べている。
内山助手の研究分野は数値流体力学であり、現在、気液二相流、キャビテーション流れ、Large Eddy Simulation (LES)などに対する有限要素法を主要な研究テーマとしている。気液二相流の解析には非圧縮性二流体モデルを用い、対流項の離散化法が解析結果に及ぼす影響や定式化スキームの数値安定性を調べ、上流型スキームの開発を進めている。キャビテーション流れの解析には、Navier-Stokes方程式とReyleighの式を連立して解析する気泡流モデルを用い、Petrov-Galerkin法により円柱まわりの流れを計算し、液相に対する気泡の相対速度を合理的に考慮できる計算モデルを検討している。LESに関しては、対流項の離散化法やマルチパスアルゴリズムが解析結果やCPU時間に及ぼす影響などを明らかにするとともに、その解析法を開発しつつある。
私、峯村は、回転羽根車内の気液二相流に対するk-εモデル・二流体モデルによる乱流解析、固液二相流時の流れに対するk-εモデル・two-way法による解析と粒子の混入による壁面摩耗などが当面の主要な研究テーマです。これら三次元計算からくる膨大な計算時間を短縮化するべく多重格子法と並列計算法の導入や、これら複雑系に対するより効率的な計算システムをJava環境を用い構築することなども検討中です。
神谷教授は、皆さん周智のように、弾性・塑性力学的な問題を主な対象にして、自己修正型境界要素法、アダプティブメッシュ、ネットワークCAE、パラレル・クラスターコンピューティングなどの先進数値解析法を研究されている。
情報文化学の創設の道は端緒についたばかりで、計算力学部門の各位には、共通する多くの関心事に対する情報交換と暖かいご支援、ご指導を引続き賜わりたく、お願いする次第である。