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私と計算力学
三好俊郎
東海大学工学部航空宇宙学科
この度は、計算力学部門より功績賞を頂き、大変恐縮しております。計算力学部門も創立より早くも8年を経過し、本年の4月より9年目にはいります。創立の際、矢川先生を中心として部門に参加する人数、講演会が成立するかどうか、会計に関する問題など色々と心配する事項の多かったことが嘘のように思われます。8年経過した現在では、計算力学部門は大部門となり、各種の行事も組織的に行なわれるようになってまいりました。また、講演会も地区で行なう場合、参加人数のことを考え、私が部門の委員長の時までは、東京で開催しておりましたが、齋藤先生の時より地区で開催し成功を収め、以来地区開催も定着してまいりました。特に昨年は、田中先生のご尽力でJA長野の立派なビルで組織的にうまく開催されたことは大変良かったと思っております。また、景色も大変きれいでした。(四方の山々、雪、黄葉、紅葉など……)。来年は、福岡で宮崎先生のお世話により講演会が開かれる由、期待しております。
さて、ここで簡単に私と計算力学とのかかわりを述べさせて頂きます。ことの初めは、昭和42年東京大学工学部精密機械工学科の宮本研究室の卒業論文のテーマとして宮本先生より「き裂先端の応力解析を有限要素法を用いて行ないなさい」と指示されたことです。当時、現計算力学部門長の白鳥先生が2年先輩として修士2年で在学されており、一緒にやることになりましたが、当時は参考書もほとんどなく、計算機もHITAC5020という容量が64 kwordsの汎用計算機でカード入力、プリンタ出力の時代でした。したがって、研究は2次元弾性解析用の有限要素法のプログラムを開発し、これを用いて2次元き裂の解析をするということで、当時としてはかなり難問でした。その後、白鳥先生とご一緒に博士課程まで進み、役割を白鳥先生はcyclic load(疲労)、私はmonotonic load(静荷重)という分担で各種の事項を研究して来ました。私に関しては、溶接継手の応力解析、3次元表面き裂のK値解析、アルミニウム粗大結晶粒の応力解析、J積分と解析などです。
これらの研究をまとめ、昭和48年に「非線形な破壊の力学に関する研究」と題して東京大学より博士号(課程博士)を頂きました。審査された先生方は、宮本先生(主査)、山田先生、山本先生、佐田先生、岡村先生(前東京大学工学部長)で今考えても「こわい」先生ばかりでした。昭和48年講師、昭和49年助教授にして頂きましたが、研究は2つの柱よりなり、一つは「有限要素法」、もう一つは「破壊力学」です。有限要素法では、当時出てきたパーソナルコンピュータを用いたパソコン用ソフトウェアの開発、その後、スーパーコンピュータの出現によるスーパーコンピュータ用ソフトウェアの開発、さらに並列コンピュータ用ソフトウェアの開発に従事してきました。1989年にはスーパーコンピュータ用のソフトウェアSUPER SOLVE がCRAY社の主催するコンペでギガフロップ賞を受賞致しました。また、パソコン用ソフトウェアは現在機械学会より販売されているCAI シリーズ「有限要素法入門」の母体となりました。SUPER SOLVE, CAIとも当時私の研究室にいた吉田有一郎君(現東芝)の努力に負うことが多いと思っております。また「破壊力学」では、不安定延性破壊の問題、LBB 関係の問題、3次元表面き裂のJ積分、ラインスプリング法、電子デバイス、電子機器の応力解析および強度評価などを行なってまいりました。現在、興味をもっておりますのは、計算科学による材料の強度発現機構、損傷機構の解明、並列コンピュータの計算科学に対する効率的な適用技術などです。計算科学とは、計算力学、分子動力学……など広い意味でのサイエンスです。終りに、学生時代よりずっと一緒に関係を持たせて頂いた矢川先生、大坪先生、白鳥先生、尾田先生などの先生方、坂田信二氏(日立)、吉田有一郎氏(東芝)など多数の方々に謝意を表すると共に今後とも宜しくお願い申し上げます。