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SUPERCOMPUTING'95に出席して
棚橋隆彦
慶応大学理工学部機械工学科
今回もまた偶然「AQUA並列処理化開発委員会国外研究動向調査」の一環としてSupercomputing'95に出席する機会を得たのでここで会議の様子を報告したい。この会議は毎年11~12月ごろに米国で開催されるもので、世界のSupercomputerの開発動向およびその方向性を知る上で重要な会議である。前回、今回、次回の開催は以下のとおりである。
前回 '94 Washington D.C. November 12-24 約6000人
今回 '95 Sandiego December 3-8 約5500人
次回 '96 Pittsburgh November 17-22 (予定)
参加者は前回の約6000人に対して今回は約5500人とやや減少ぎみである。これは会場が広かったからそう感じたのかもしれない。以下に会議の印象を3点にまとめ参考に供したい。
1. ネットワーク上での作業の効率化
データHighway(高速情報ネットワーク)を利用したSupercomputerの利用形態がますます盛んになっている。一人の人がネットワークを利用して遠隔地のSupercomputerを利用するのみならず、複数の散在するSupercomputerをネットワークを利用して同時に使用する方法および遠隔地の人々と作業を分担しながら共同で、コンピュータ上で会話しながら大規模プロジェクトを進行させていく実演等は興味深かった。特に国立研究機関や大学等が一体となった資源の有効利用、知識の共有化等が進んでいる。これからはclosedされた世界からopenな世界へ移行することにより、高速情報ネットワークを通じて技術の進歩発展が加速されそうである。
2. 並列化・オブジェクト化言語の進展
複数の機関に点在する並列のSupercomputerを同時使用するためのコンピュータ言語の開発も盛んに行われている。現在、われわれが科学技術計算で利用している言語はFORTRAN77またはCであるが、IBMではFortran90の使用が約半数近くに達していること、およびHPF(High Performance Fortran)が実用化されている。一方、Cはオブジェクト指向のC++へ、さらにCC++からHPC++に進化しつつある。これらの言語には方言が数多く開発されている。しかし、いずれHPFとHPC++の中へ徐々に統合されそうである。言語・コンパイラー・コンピュータアーキテクチャーは並列化の波に乗って現在いろいろ試行し模索している様子である。HPFとMPI(Message Passing Interface)を同時使用した研究も興味深かった。
3. 多様な並列Supercomputer
1個のCPUあたりの計算速度は100GFLPS程度がさしあたりの限界値とされている。したがって、Tera FlopsマシンやPeta Flopsマシンを作るにはCPUの超並列化が必要である。そして、現在高速計算技術を達成するには次の3点
(a) Localize (分散化)
(b) Parallelize (並列化)
(c) Pipeline (ベクトル化)
が検討されている。これらに付随してMessage Compression, Micro Parallelism, Data Remapping等の問題を解決しなければならない。しかし、それより大切なのは超並列化されたSupercom-puterの市場のshrinkであり、必ずしも将来性は明るくない。色はblueであると表現していた。
4. その他
以上3点が会議全体の大きな流れであるが、特にCFDでは結果のReal Timeでの3次元のVirtual Visualizationに表現力の豊かさを感じた。また発表においてもOHPから、パソコンを使ったものへ移行しつつあり、動画を含めたHyper Textを利用したPresentation等の新しい形態は今後発展しそうである。各ブースの展示においても、日立、NEC、富士通、ソニー等日本勢のものは外国勢に比較して人の入りも少なく、工夫の必要性が感じられた。Cray社の人間ロボットの実演には興味深いものがあった。Cray, IBM, Convex, Intel, DEC等から最新鋭の並列計算機が出そろっていたが、昨年に較べて大きな進歩はないようである。以上思いつくままに会議の感想を述べたが、少しでも読者に役立てば幸いである。