図1に研究費総額と対国内総生産比率を示す.平成28年度の研究費総額は18兆4 326億(前年度比2.7%減)で,国内総生産に対する比率は3.42%で2年連続の低下である.
図2は研究主体別研究費の額と研究費総額に対する割合の年度による変化を示している.平成28年度の研究費総額の72.3%を占める企業等の研究費は前年度比2.7%の減少,研究費総額の8.2%を占める非営利団体・公的機関の研究費は前年度比6.2%の減少,19.6%を占める大学等の研究費は1.1%減となっている.
図3は,自然科学に使用した研究費を基礎研究費,応用研究費,開発研究費に分類した性格別の研究費の額と自然科学に使用した研究費全体に占める割合の年度ごとの変遷を示している.企業等で行われる研究が多いことから,開発研究費が最も多く,平成28年度は10兆9 091億円と自然科学に使用した研究費全体の64.0%を占め,基礎研究費は2兆5 912億円で15.2%,応用研究費は3兆5 331億円で20.7%を占めている.
図4は,第3期科学技術基本計画(平成18年3月28日閣議決定)に定められていた重点推進4分野等の特定目的別の研究費の額を示している.ライフサイエンス分野が3兆317億円で研究費全体に占める割合が16.4%,情報通信分野が2兆1 680億円で11.8%,環境分野が1兆1 797億円で6.4%,エネルギー分野が9 615億円で5.2%,海洋開発分野が1 057億円などとなっている.重点推進4分野では,ナノテクノロジー・材料分野が前年度比4.1%増,環境分野が1.4%減,ライフサイエンス分野が0.1%増,情報通信分野が3.5%増となっている.なお,宇宙開発は前年度比2.6%増,海洋開発は13.3%減である.
企業における平成28年度の研究費を産業大分類別にみると,「製造業」が11兆5 682億円と研究費全体に占める割合が87.0%と最も多く,次いで「学術研究,専門・技術サービス業」が8 448億円,同6.4%,「情報通信業」が5 807億円,同4.4%となっている.
表1は,平成28年度の企業における研究費のうち自然科学に使用した研究費を産業大分類別に,研究費総額,基礎研究費,応用研究費,開発研究費に分けて示している.自然科学に使用した研究費は,全産業で前年度比2.6%減,製造業で2.4%減である.製造業の中では「輸送用機械器具製造業」が最も多い2兆9 251億円,前年度比0.8%減であり,平成28年度に自然科学に使用した研究費総額の22.0%を占めており,その82.5%が開発研究に使われている.
図5は,男性研究者と女性研究者の数を示している.平成11年度に7.6万人であった女性研究者の数は,年々増加し,平成29年度には14.4万人になり,まだ割合は少ないものの全研究者の15.7%となっている.
図6は職種別研究関係従業者数の推移を示す.研究者が85.4万人(全体に占める割合80.5%),研究事務その他の関係者が8.9万人(同8.4%),研究補助者が6.4万人(同6.1%),技能者が5.4万人(同5.1%)となっており,前年比で,研究者が0.8%増となっているのに対し,技能者が4.9%減,研究事務その他の関係者が0.9%減,研究補助者が3.9%減となっている
図7は諸外国との特許,ノウハウなどの技術の提供及び受入れである技術輸出の受取額と技術輸入の支払額を示している.平成28年度の技術輸出の受取額は3兆5 719億円で前年度に比べ9.6%減である.技術輸入の支払額は4 529億円で前年度に比べて24.9%減である.
図8は相手国別の技術輸出の受取額,図9は相手国別の技術輸入の支払額を示している.いずれもアメリカ合衆国相手が最も多く,技術輸出の受取額は1兆3 824億円で前年度比13.5%減であり,受取額全体に占める割合は38.7%,支払額は3 280億円で22.8%減であり,支払額全体に占める割合は72.5%となっている.また,技術輸出の受取額は,子会社などの進出が多い中国とタイが2位と3位を占め,中国が4 456億円で前年度比6.5%減,タイが3 016億円で7.9%減となっている.技術輸入の支払額は,アメリカ合衆国の他にはドイツ,スイス,イギリス,フランスなどヨーロッパ諸国が多い.
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