近年,毎年のように“前例の無い”自然災害が発生しており,また我々人類の環境破壊による,気温や降水量の変化などにより貴重な動植物の生息域が減少していることも報告されている.深刻さを増す地球環境問題の解決に向けた対応が必要なことは我々の共通認識である.しかし,英国や米国での選挙に見られたように,問題の解決のために自分たちの生活環境を犠牲にすることは,なかなか受け入れられない.改めて環境工学の最大の課題が,快適性を維持・向上しつつ環境問題を解決する技術を開発することであることを認識している.
日本では,公害対策基本法が1967年に制定され,大気汚染,水質汚濁,土壌汚染,騒音,振動,地盤沈下,悪臭の典型7公害に対する対策が義務付けられた.このため関連するさまざまな工学分野で環境保全技術の研究・開発が活発となり,日本は世界最高水準の環境対応技術を持つ国となった.しかしながら,総務省が毎年発表している公害苦情調査によれば,2015年度も約7万件もの苦情が全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口によせられている.一旦,環境が破壊されると解決のためには多大な時間がかかる.1980年代から問題となった香川県豊島での産業廃棄物の不法投棄問題も14年の年月を費やし2017年3月にようやく最後の産廃が島から搬出された.今後,地球規模での環境問題の解決のため,環境工学技術の国際標準化なども望まれる.
2015年の北陸新幹線長野~金沢間の開業に続き,2016年には北海道新幹線新青森~新函館北斗間が開業され,それに伴い,環境省では沿線の騒音測定を行い,新幹線鉄道騒音に係る環境基準の達成状況が報告された[1].測定した8地点のうち7地点(88%)で環境基準を満たしていた.その内訳は,住居用地域の7地点で6地点(86%)が70デシベル以下とする基準を達成し,商工業用地域の1地点では75デシベル以下とする基準が達成されていた.環境省から環境基準の達成および維持に努めるよう,土交通省,北海道,青森県に対し要請等が行われた.
環境省は,2015年度に行われた自動車騒音常時監視の報告に基づき,全国の自動車交通騒音の状況について取りまとめた結果を報告した[2].その結果,818万5 300戸を対象とした評価において,昼間(6時~22時)・夜間(22時~6時)のいずれか又は両方で環境基準を超過していたのは6.4%であり,そのうち昼夜間とも環境基準を超過していたのは全体の3.0%であった.また,環境基準を達成した割合は,近年緩やかな増加傾向を示している.また,全体を道路種類別の集計では,昼間・夜間のいずれか又は両方で環境基準を超過していた割合が最も高かったのは「一般国道」で,226万8 300戸のうち23万9 800戸(10.6%)であると報告している.
2013年から9回にわたって行われてきた「風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会」[3]の報告書が環境省から公開された[4].風車騒音の評価の目安は「残留騒音+5 dB」で,残留騒音が著しく低い静穏を要する地域や保存すべき音環境がある地域の下限値は35 dB,それ以外の地域においては40 dBを下限値として設定することが提示されている.また,風車騒音の評価は,設置予定地近隣の住居等,風車騒音が人の生活環境に影響を与えるおそれがある地域の屋外で行い,残留騒音の測定及び風車騒音の評価は,昼間(午前6時から午後10時まで)と夜間(午後10時から翌日の午前6時まで)のそれぞれについて行うことが明記されている.詳細については,環境省の報告書[4]を参照されたい.
日本機械学会環境工学部門第26回環境工学総合シンポジウム[5]は2016年6月29日から7月1日まで金沢歌劇座(石川県金沢市)で開催された.6月29日には見学会「北陸新幹線の安全・安定輸送を支える車両メンテナンス基地―JR西日本白山総合車両所―」があり,6月30日と7月1日の2日間に講演会が行われた.全体の講演論文数は100件で,そのうち騒音・振動評価・改善技術のオーガナイズドセッションでは37件の講演発表があった.その騒音・振動の評価・改善技術については,騒音・振動の実験・解析・評価で10件,空力音の実験・解析・制御で12件,音の能動制御で4件,吸音構造・特性で3件,音の知覚・音質の評価で3件,鉄道の騒音・振動で6件が報告された.騒音・振動メカニズムの解明から評価・制御に至る幅広い研究報告がみられ,今後の研究の進展が期待される.
日本機械学会2016年度年次大会は,2016年9月11日から14日まで九州大学伊都キャンパスで開催された.9月14日に「流体関連の騒音と振動」のオーガナイズドセッションでの20件の講演発表に加えて,一般セッションでの講演発表が2件あった[6].オーガナイズドセッションにおいては,キャビティ音や流体機械からの流体騒音など6件,振動平板や円柱などの構造連成問題に関して5件,シートフラッターに関して5件,燃焼振動・流体関連不安定現象に関して4件の研究が報告された.
国際会議の動向については,第23回International Congress on Sound and Vibration(ICSV23)[7]が2016年7月10日~7月14日にギリシャのアテネで開催された.16の対象エリアで44のセッションが組まれ,約1 000件の講演論文が報告された.ANCおよびアクティブ制振関連(ACTIVE NOISE AND VIBRATION CONTROL)については61件,音響材・制振材関連(MATERIALS FOR NOISE AND VIBRATION CONTROL)では42件,道路と鉄道関係の交通騒音と振動(ROAD AND RAIL TRAFFIC NOISE AND VIBRATION)は60件の発表があり,音の発生と伝播にかかる音響に関する研究(PHYSICAL ACOUSTICS, ULTRASOUND & WAVE PROPAGATION)について,音響のみの研究だけでなく,振動や流体の流れと関連した音響に関する発表が83件で最も多かった.
第45回Inter-Noise Congress & Exposition on Noise Control Engineering(INTER-NOISE2016)[8]が,2016年8月21日~8月24日にドイツのハンブルクで開催された.4件のキーノートレクチャーに,30項目に対して141のセッションが組まれ,828件の講演論文が発表され,97件のポスター発表が行われた.ANC関連に関しては,フィードバック制御に関する理論的・実験的研究や電気自動車を含む自動車のNVHを低減させる技術開発に関する研究が報告された.これまで同様に航空機や鉄道,自動車,船舶等の乗り物に関係する研究は数多くみられるが,道路とタイヤの干渉問題に特化したセッションやヨーロッパでのデータを中心に環境騒音の解析・評価関する研究なども報告された.また,弾性体材料に対する音や振動に関する研究についての発表もみられ,産業界から医用業界まで幅広い問題が取り扱われていた.
2016年5月のG7環境大臣会合で合意された富山物質循環フレームワークで,持続的な開発目標(SDGs)及びパリ協定の実施に向けて,国際的に協調して資源効率性や3Rに取組む強い意思を示している.
「資源効率性・3Rのための主導的な国内政策」の具体例として,食品ロス・食品廃棄物等の有機性廃棄物対策を課題に挙げる.国内で発生している食品廃棄物は約2 800万トン,そのうち約630万トンが可食部分(食べ残し,返品等)と推定(2014年度)されている.食品ロス削減に取組むとともに,食品廃棄物のリサイクル,エネルギー利用を促進する.
食品廃棄物に関しては,2016年1月に発覚した食品廃棄物の不正転売等の廃棄物不適正処理事案が発生したことを受け,廃棄物の不適正処理への対応強化を盛り込んだ廃棄物処理法改正が検討されている.
さらに,富山物質循環フレームワークでは,「グローバルな資源効率性・3Rの促進」を挙げ,国内外で発生した二次資源(使用済鉛蓄電池,電子部品スクラップ等)について,日本の環境技術を生かした非鉄金属リサイクルを着実に進めるため,バーゼル法のあり方等が検討されている.
リサイクル分野の技術動向として,選別にロボットを導入した事例や,IoT化も検討されている.また太陽光パネルのリサイクルが始まり,炭素繊維のリサイクル方法も検討されている.
2015年12月に気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定は2016年11月に発効した.これにより,世界は地球温暖化問題解決への新たなスタートを切った.わが国でも一層の温暖化対策が必要である.
日本の温室効果ガス総排出量における廃棄物分野の割合は2014年度で2.7%,2005年比14%削減であるが,低炭素社会,循環型社会の統合的な実現に向けて,廃棄物の発生抑制,再使用,再生利用を推進しつつエネルギー回収を進めていく必要がある.
廃棄物処理分野における地球温暖化対策は,廃棄物焼却量の削減,廃棄物焼却施設における廃棄物発電の導入等である.
一般廃棄物焼却施設において,施設の総数は減少しているが発電施設は2014年度の338施設から2015年度は348施設と増加,発電施設の発電効率も2014年度の12.42%から2015年度では12.59%に増加している[1].
発電効率を増加させる取組みとして,過熱蒸気温度を400℃から450℃に想定した耐食材料開発や,衝撃波や水噴射によるボイラダスト除去,排ガス再循環や無触媒脱硝による低NOx燃焼が学会等で報告されている.
そして,DBO案件増加に伴い,情報通信技術(ICT)を利用し,遠隔サポートセンター等で各施設の状況を一元的監視,さらには操作を行うことで,運転・維持管理を滞りなく行うシステムの報告が活発であった.今後,さらに人工知能やビックデータ等を活用したシステムの導入が想定される.
一般廃棄物焼却施設は,地域のエネルギー政策の核となる施設である.市町村等が一般廃棄物焼却施設から得られる廃棄物エネルギーを地域の自立・分散型エネルギーとして利活用できるよう「廃棄物系バイオマス利活用導入マニュアル(案)」を策定中である.
今後,一般廃棄物焼却施設は,地域により,「廃棄物処理施設」に加えて,「エネルギーセンター」,「防災拠点」という役割を担うと考えられる.
2016年9月に「改正大気汚染防止法」が公布された.これは「水俣条約」締約による措置であり,廃棄物焼却炉に水銀の排出基準(新規施設:30 μg/Nm3 既存施設:50 μg/Nm3)が新たに設定され,同時に排ガス中の水銀測定法も公示された.施行は2018年4月1日の予定である.
廃棄物焼却施設の高効率発電を後押ししているFIT制度に関して,資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会で調達価格の議論が行われた.12月の委員会で,廃棄物燃焼発電について,2016年度の調達価格(17円/kWh)が2019年度まで3年間据え置きという委員会(案)が提示された.今後,パブリックコメントを経て経済産業大臣が価格を決定する.
災害廃棄物処理に関して,福島県内の災害廃棄物は,2016年12月末で約120万トン完了(約20万トンが焼却処理済,約51万トンが再生利用済).災害廃棄物の焼却処理を行う仮設焼却炉は,福島県内9市町村10施設に対し,7施設が稼動,1施設は処理完了,1施設は建設工事中,1施設が今後着工予定である.最終処分を行うまでの中間貯蔵施設整備に向けた調整が行われている.
4月に発生した熊本地震では,約195万トンの災害廃棄物が発生,2年間での処理を目指す.
環境省では,大規模災害発生時においても強靭な災害廃棄物処理システムを構築できるように,全国レベル,そして地域レベルでの災害廃棄物連携体制構築に向けた整備を行う.
大気環境の現状および保全対策に関して以下にまとめる.窒素酸化物,二酸化硫黄,一酸化炭素のほとんどの観測局で環境基準達成している.浮遊粒子状物質についても環境基準達成率は高いと言える.更なる濃度低下を目指して,排出ガス低減性能の高い自動車の普及や排出基準に適合している全国のトラック・バス等であることが判別できるように「自動車NOx・PM法適合車ステッカー」の交付等に取り組みが実施されている.次世代自動車等の普及に取り組んだ結果,新車販売に占める次世代自動車の割合は,20%を超えている.船舶からの排出ガスについては,国際海事機関の排出基準を踏まえ,海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律により,窒素酸化物,燃料油中硫黄分濃度等について規制されており,規制濃度が強化される方向で検討されている.
光化学オキシダントの環境基準の達成状況は,依然として極めて低い水準となっている.関東地域,東海地域,阪神地域等において,近年,域内最高値が低下しており,高濃度域の光化学オキシダントの改善が示唆されている.揮発性有機化合物(VOC)は光化学オキシダント及び浮遊粒子状物質の生成の原因物質の1つであり,VOCの排出抑制対策については,平成22年度までに全国のVOC総排出量を平成12年度に比べて3割程度削減させることを目標に,法規制と自主的取組を適切に組み合わせること(ベストミックス)により実施された.平成22年度のVOC総排出量は平成12年度に対し4割以上削減された.
微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準達成率は,一般局,自排局とも低い水準で推移している.有効測定局数は,PM2.5が常時監視項目に加わった平成22年度以降,着実に増加している.PM2.5は,原因物質と発生源が多岐にわたり,生成機構は複雑であるなど解明すべき課題が残されている.排出抑制対策の基盤となる発生源情報の整備や生成機構の解明等,シミュレーションモデルの高度化等を進めつつ,国民の安全・安心の確保,環境基準の達成,アジア地域における清浄な大気の共有を目標とした取組が進められている.
酸性雨に関しては昭和58年度からモニタリングやその影響に関する調査研究を実施しており,モニタリング結果の概要は,次のとおりである.降水は引き続き酸性化の状態にある.降水中に含まれる非海塩性硫酸イオン等の濃度は冬季と春季に高く,国内の酸性沈着における大陸からの影響が示唆される.特に山陰等の地域で顕著な上昇が見られた.二酸化硫黄及び粒子状非海塩性硫酸イオンは,大陸に近い地点ほど濃度が高く,大陸からの移流の寄与が大きいことが示唆された.また,特定の気象条件や黄砂の飛来現象に伴いイオン成分等の上昇も確認された.
次に水環境の現状および保全対策に関して以下にまとめる.水質汚濁に係る環境基準のうち,重金属類など人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)については,ほとんどの地点で環境基準を満たしている.生活環境の保全に関する環境基準(生活環境項目)のうち,有機汚濁の代表的な水質指標である生物化学的酸素要求量(BOD)または化学的酸素要求量(COD)の環境基準の達成率は,湖沼では依然低く,閉鎖性海域の海域(東京湾,伊勢湾,大阪湾,瀬戸内海)もあまり高くない状況が続いている.一方,全窒素及び全リンの環境基準の達成率も,湖沼では依然として低い水準で推移し,閉鎖性海域では一部未達成になっている.赤潮の発生状況は,閉鎖性海域および有明海で報告されており,貧酸素水塊や青潮の発生も見られた.
「豊かな海」の観点から,干潟・藻場の保全・再生等を通じた生物の多様性及び生産性の確保等の重要性も指摘されている.多様な魚介類等が生息し,人々がその恩恵を将来にわたり享受できる自然の恵み豊かな豊穣の里海の創生を支援するため,里海づくりの手引書や全国の実践事例等の情報について,ウェブサイト「里海ネット」(http://www.env.go.jp/water/heisa/satoumi/)で提供されている.
地下水質の概況調査の結果では,調査対象井戸において環境基準を超過する項目が見られ,汚染井戸の監視等を行う継続監視調査の結果では,一定数の調査井戸において環境基準を超過していた.施肥,家畜排せつ物,生活排水等が原因と見られる硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の環境基準超過率が,最も高くなっており,これらに係る対策が緊急の課題となっている.一方,汚染源が主に事業場であるトリクロロエチレン等の揮発性有機化合物についても,依然として新たな汚染が発見されている.
2016年から2017年にかけての非常に大きな出来事は,2015年にフランス・パリで開催された気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)での地球温暖化対策の新枠組み「パリ協定」を我が国が批准(2016年11月)したことである.これにより,我が国は,二酸化炭素の国内の排出削減・吸収量の確保により,2030年度に2013年度比で二酸化炭素を26.0%減少すること(約10億4 200万t-CO2)を中期目標とした.
2030年度の電力需要は,2013年度から1.7%/年の経済成長率があり,徹底した省エネルギー対策で約1 961億kwhを削減できるとして9 808億kwhと想定され,総発電電力量に占めるエネルギーミックスの割合は,再生可能エネルギー22~24%程度,原子力発電20~22%程度,LNG火力発電27%程度,石炭火力発電26%程度,石油火力発電3%程度としている.このうち再生可能エネルギーの内訳は,水力発電8.8%程度,太陽光発電7.0%程度,バイオマス発電3.7~4.6%程度,風力発電1.7%程度,地熱発電1~1.1%程度である.なお,水力発電,石炭火力発電,原子力発電等によるベースロード電源が総発電電力量に占める割合は56%程度である.石炭火力発電は,LNG火力発電に比べおよそ2倍程度のCO2を排出し,更なる高効率化,低炭素化が求められており,石炭をガス化しガスタービンと蒸気タービンによるコンバインドサイクル方式を利用した石炭ガス化複合発電(IGCC)により発電効率を46~50%程度(2020年頃)に,IGCCに燃料電池を組み込んだトリプルコンバインドサイクル方式の石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)により発電効率を55%程度(2025年頃)に高める技術開発が進められている.LNG火力発電も,超高温(1 700℃以上)ガスタービンを利用した超高温ガスタービン複合発電により発電効率を57%程度(2020年頃)に,ガスタービン複合発電に燃料電池を組み合わせたトリプルコンバインドサイクル方式の発電方式によるガスタービン燃料電池複合発(GTFC)により発電効率を63%程度(2025年頃)に高める技術開発が進められている.太陽光発電は,NEDO「新エネルギー・産業技術総合開発機構」が策定した太陽光発電ロードマップPV2030によれば,新材料の開発をと高効率セル構造開発により太陽電池モジュールのエネルギー変換効率を25%にすることを目標にしている.バイオマス発電は,未利用間伐材,建設資材廃棄物,一般木材・農作物残さ,一般廃棄物を材料として,2020年に約267億kWhの発電量が計画されている.風力発電は,2020年に陸上風力1 110万kW,浮体式洋上風力1万kWと着床式洋上風力20万kWが計画されている.
2030年度までに省エネルギー対策で電力量を約1 961億kwh削減するために,産業,業務,家庭,運輸の各部門において石油換算で,1 042万KL,1 226万KL,1 160万KL,1 067万KL程度の省エネルギーを実現する必要がある.産業部門では,FEMS(Factory Energy Management System)を導入し,エネルギー使用状況と製品の製造ラインの状況を把握し,製造状況に応じた最適なエネルギー管理を実現することで,業務・家庭部門では,BEMS(Building Energy Management System)・HEMS(Home Energy Management System)・スマートメータを導入し,エネルギー使用状況,活動環境の状況と消費者の行動を把握し,使用者や電力供給の状況に応じた最適なエネルギー管理サービスを提供することで,運輸部門では,センサー・カメラでエネルギー使用状況と走行環境の把握し,交通状況に応じた最適運転を実現することで,それぞれ67万KL,414万KL,52万KLの省エネルギーが計画されている.また,業務・家庭部門では,新築建築物と新築住宅に対する省エネ基準適合義務化,さらに,ZEB(Zero Energy Building),ZEH(Zero Energy House)の導入による省エネルギーが計画されている.
2016年4月に電力自由化(小売り全面自由化)が開始され,2017年4月にはガス自由化も開始され,消費者が自身のライフスタイルや価値観に合わせた電力・ガス料金体系やサービスを選択することが可能となった.2020年と2022年には発送電部門と導管部門も自由化される.総発電電力量における再生可能エネルギーの割合が増加する中で,自律分散的な制御方式を取り入れて電力網内での需給バランスの最適化調整や過負荷などに優れているとされるスマートグリッド技術開発が,今後重要となる.
2016年6月に開催された第26回環境工学総合シンポジウムでは,環境保全型エネルギー技術分野において33件の発表が行われた.新エネルギー,エネルギー有効利用,省エネルギー技術,蓄エネルギー技術などに関する最新の研究成果について活発な議論が行われた.
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