特別講演

日時: 9月5日(月) 13:45~14:45

会場: 工学部中央棟2階 大講義室

 

運動企図と末梢神経磁気刺激によるニューロモデュレーション

講師:

出江 紳一 教授 博士(医学)

東北大学 医工学研究科 研究科長

 磁気刺激は,パルス磁場による誘導電流で神経・筋を刺激する方法である。経頭蓋磁気刺激として運動野-皮質脊髄路-脊髄運動神経-筋の興奮性と伝導性を評価する手段として導入され,その後,反復経頭蓋磁気刺激による大脳皮質の可塑的変化を利用したニューロモデュレーション手段として発展してきた.また磁気刺激は末梢神経線維を興奮させることもでき,その無痛性から従来の電気刺激に替わる治療手段として注目されている.
 一方,中枢神経損傷による運動麻痺のリハビリテーション治療は運動学習の原理に基いて行われ,ニューロモデュレーションは、練習課題の難易度を下げる促通法と位置づけられる.私たちは,脳卒中による重度の運動麻痺に対するニューロモデュレーション治療に取り組んできたが,一貫して運動企図による促通を治療システムの根幹に据えている.
本講演では,神経可塑性に立脚した脳卒中後片麻痺の治療の知見と運動企図による促通の意味を概説し,私たちが開発した末梢神経磁気刺激装置による片麻痺治療の現状と展望を述べる.