特集1.「流れのコントロール」
1-(1) 「船舶の摩擦抵抗低減デバイスとしてのマイクロバブルの可能性」 海上技術安全研究所 知的乱流制御研究センター 児玉良明
1-(2) 「気泡を含む液体中を伝わる圧力波」 東京農工大学工学部機械システム工学科 亀田正治
1-(3) 「磁場を利用した空気流および燃焼反応の制御−磁気空気力学−」 産業技術総合研究所環境調和技術研究部門 若山信子
1-(4) 「アート志向サボニウス風車の展開」 協同組合プロード 増田頼保
1-(5) 「逆熱対流機能性粒子を用いた温度成層制御」 大阪大学大学院工学研究科機械物理工学専攻 大川富雄
特集2.「学生の流体工学研究」
2-(1) 「研究室の学生から見た流体工学の研究の面白さ - ナノ世界の現象と流体工学研究-」 東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻(松本・高木研) 菊川豪太
2-(2)「可視化実験の魅力」 金沢大学大学院工学研究科機能機械工学専攻(岡島・木綿研) 内田英典
2-(3)「学生から見た流体工学の研究の面白さ」 山口大学大学院理工学研究科博士前期課程機械工学専攻(大坂研) 本多宏昭
2-(4)「学生から見た流体工学の研究の面白さ ―流体工学はおもしろい!―」 徳島大学大学院工学研究科機械工学専攻(一宮研) 安倍智宏,細部智章
3. 「第80期流体工学部門賞の選考と授与」
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安倍智宏 細部智章 徳島大学大学院工学研究科 機械工学専攻(一宮研) 幼いころから飛行機が好きで,その飛行原理を知るためによく飛行機に関する本を読んでいました.飛行原理の説明には必ずといっていいほどベルヌーイの定理が用いられており,頭を悩ませた経験があります.これが流体工学との最初の出会いであり,流体工学への興味の始まりであったと思います.その当時はベルヌーイの定理の意味を理解することはできませんでしたが,実際に翼を作って,その周りに風を流すことで揚力の発生を確かめることができました. 流体工学の面白さは流体の目に見えない力にあると思います.どうして船は浮かぶのか?野球の変化球のしくみはどのようになっているのか?という疑問はだれもが一度は持ったことがあると思います.そしてこの正体こそが流体の目に見えない力です.この正体を知ったとき非常に感動したことを覚えています.現在ではその当時の興味が自動車周りの流れにも及び,中でもドアミラーの形状による流れの変化,自動車の底部の流れに興味を持ち,このことが今日,流体工学分野,特に空気を用いた研究を行っている原動力となっています. 現在は流体力学研究室で突起を用いて空気の流れを層流から乱流に人工的に強制遷移させる基礎的な研究をおこなっています.流体は障害物を避けて下流方向に流れるので,流れ場の設定や粗さ要素の形状を変化させること,または粗さ要素を増やすことで流体の流れ方は変化します.障害物を通過した流体は乱流になり,その乱流の変化の過程において,流れ場の速度分布や境界層厚さを調べたり,流れ場の中の渦構造を解析したりすることで乱流のメカニズムの基礎を知ることができると考えています.この研究を生かせば,世の中の必要なところで層流,乱流を使い分けることができるようになると思います.また,流体力学には実際に目に見えないものに法則を与える面白さや,目にみえない現象を可視化によって目で見ることができる面白さがあると思います.これによって,実験結果から考察して得られた知見と,実際の可視化結果から得られた知見の双方から新たな発見を見出すことができるようになります.最後に流体工学は幼い頃から興味があった飛行原理から水道管内の流れのような身近なものまで幅広く応用できる分野であるので,一人でも多くの人に身近なことから流体工学に興味を持ち,その面白さを知って欲しいと思います.
幼いころから飛行機が好きで,その飛行原理を知るためによく飛行機に関する本を読んでいました.飛行原理の説明には必ずといっていいほどベルヌーイの定理が用いられており,頭を悩ませた経験があります.これが流体工学との最初の出会いであり,流体工学への興味の始まりであったと思います.その当時はベルヌーイの定理の意味を理解することはできませんでしたが,実際に翼を作って,その周りに風を流すことで揚力の発生を確かめることができました. 流体工学の面白さは流体の目に見えない力にあると思います.どうして船は浮かぶのか?野球の変化球のしくみはどのようになっているのか?という疑問はだれもが一度は持ったことがあると思います.そしてこの正体こそが流体の目に見えない力です.この正体を知ったとき非常に感動したことを覚えています.現在ではその当時の興味が自動車周りの流れにも及び,中でもドアミラーの形状による流れの変化,自動車の底部の流れに興味を持ち,このことが今日,流体工学分野,特に空気を用いた研究を行っている原動力となっています. 現在は流体力学研究室で突起を用いて空気の流れを層流から乱流に人工的に強制遷移させる基礎的な研究をおこなっています.流体は障害物を避けて下流方向に流れるので,流れ場の設定や粗さ要素の形状を変化させること,または粗さ要素を増やすことで流体の流れ方は変化します.障害物を通過した流体は乱流になり,その乱流の変化の過程において,流れ場の速度分布や境界層厚さを調べたり,流れ場の中の渦構造を解析したりすることで乱流のメカニズムの基礎を知ることができると考えています.この研究を生かせば,世の中の必要なところで層流,乱流を使い分けることができるようになると思います.また,流体力学には実際に目に見えないものに法則を与える面白さや,目にみえない現象を可視化によって目で見ることができる面白さがあると思います.これによって,実験結果から考察して得られた知見と,実際の可視化結果から得られた知見の双方から新たな発見を見出すことができるようになります.最後に流体工学は幼い頃から興味があった飛行原理から水道管内の流れのような身近なものまで幅広く応用できる分野であるので,一人でも多くの人に身近なことから流体工学に興味を持ち,その面白さを知って欲しいと思います.