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ロボティクス・メカトロニクス講演会2014 in Toyama
主催 一般社団法人 日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス部門

ROBOMECH2014

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社会講座「特別講演会」

「社会に役立つロボット・メカトロニクス研究開発の国内外の動向と展望」

特別講演1

日時:5月25日(日) 10:00-10:45
場所:富山国際会議場3階メイン・ホール

講演題目:
「わが国介護ロボット産業の発展に向けた課題と展望 ~北欧にみるユーザー・ドリブン・イノベーションの重要性~」

講演者:
 植村 佳代 氏
  日本政策投資銀行
  産業調査部 副調査役

講演概要:
わが国をはじめ,欧米など各国では介護ロボットの需要拡大を見込み,介護ロ ボットの開発・実用化が進められております.わが国は,ロボット開発のために必要 な要素技術に高い競争力を有していることに加え,自動車産業や電機産業などで培わ れた優れた技術を活用することが可能であり,介護ロボット開発において潜在的な強 みがあります.一方で,わが国には介護ロボットの実用化を進める上で最も重要とな る,実際のユーザーがリアルな実生活の環境の中でスムースに使うことができる製品 に仕上げるためのテスト環境が十分に整っておらず,わが国の介護ロボット開発を手 掛ける企業や大学,自治体などが,高福祉国家であるデンマークやスウェーデンと いった北欧諸国のテスト環境を活用し,実証実験に取り組む動きがあります.本講演 では,北欧(デンマーク・スウェーデン)におけるユーザーのニーズを出発点とした 「ユーザー・ドリブン・イノベーション」による,イノベーション環境や仕組みを紹 介すると共に,わが国の介護ロボット産業の発展に向けた課題と展望についてお話し します.

略歴:
1999年 日本開発銀行(現(株)日本政策投資銀行)入行。2007年より産業調査部にてエネルギー分野を担当し、新エネルギー(太陽光発電など)に関連するトピックスを作成。2009年よりヘルスケア分野の担当となり、2014年4月「わが国介護ロボット産業の発展に向けた課題と展望~北欧にみるユーザー・ドリブン・イノベーションの重要性~」を作成。その他、ヘルスケア関連として、「進む医療の国際化~医療ツーリズムの動向」、「進む医療の国際化(2)~拡大するアジアの医療ツーリズムの動向~」、「民間病院の経営環境と高齢化社会へ向けた対応」などあり。2014年より業務企画部所属

一般講演2

日時:5月25日(日) 10:45-11:25
場所:富山国際会議場3階メイン・ホール

講演題目:
「地域やユーザーとの連携によるセラピー用アザラシ型ロボット・パロの国内外の社会制度への組込み」

講演者:
 柴田崇徳 氏
  産業技術総合研究所
  ヒューマンライフテクノロジー研究部門
   上級主任研究員
  東京工業大学大学院
  総合理工学研究科 連携教授
  マサチューセッツ工科大学 高齢化研究所 客員フェロー

講演概要:
昨年末、英国・ロンドンでの「G8認知症サミット」は、世界で認知症者が約35百万人、コストが年間約6千億ドルと推定、しかも、有効な治療方法は未だ無い。厚生労働省によれば、2012年に国内の65歳以上の高齢者のうち、認知症者は462万人、軽度認知障害者が約400万人であった。10年に「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上が約280万人(約140万人が居宅)で、15年には約345万人で65歳以上の人口の10%以上になる。13年度から「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」により、病院・施設を中心とした認知症ケア施策から、できる限り住み慣れた地域での「在宅中心」の認知症施策にシフトし、地域で医療・介護等を包括的に提供する体制づくりを開始した。 パロは、アメリカFDAにより、09年に「神経学的セラピー用医療機器」の承認を得て、認知症高齢者に対するロボット・セラピーにも活用されている。デンマークは70%以上の地方自治体が公的導入し、ドイツは在宅認知症高齢者への訪問セラピーを健康保険適用とした。日本では、富山県南砺市、岡山県岡山市、神奈川県等と連携したパロのセラピー効果の検証と共に、地域包括医療ケアへの組込みに関する研究について紹介する。

略歴:
1967年 富山県城端町(現在・南砺市)生、1985年 富山県立砺波高校卒業、1989年 名古屋大学工学部電子機械工学卒業、1992年 名古屋大学大学院博士課程電子機械工学専攻修了・博士(工学)、1993年 通商産業省工業技術院機械技術研究所・研究官、1995-97年 マサチューセッツ工科大学人工知能研究所・研究員兼任、1996年 チューリッヒ大学人工知能研究所・客員研究員、1998年 マサチューセッツ工科大学人工知能研究所・客員研究員、1998年 通商産業省工業技術院機械技術研究所・主任研究官、2001-08年 科学技術振興機構戦略的創造研究・研究員兼任、2001-12年 産業技術総合研究所知能システム研究部門・主任研究員、2009-10年 内閣府政策統括官(科学技術政策・イノベーション担当)付参事官(情報通信担当)付、2013年-現在 現職。1997年 富山県未来財団、とやま賞、2003年 日本青年会議所、人間力大賞グランプリ、内閣総理大臣奨励賞、2004年 IEEE TExCRA 2004、Best Technical Exhibition Award、2004年 Junior Chamber International, The Outstanding Young Person of the World、2006年 経済産業省、今年のロボット大賞・優秀賞(サービス部門)、2007年 産業技術総合研究所、理事長賞、2013年 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門、技術業績賞、2014年 国際レスキューシステム研究機構、競基弘賞、その他、多数

特別講演3

日時:5月25日(日) 11:25-12:10
場所:富山国際会議場3階メイン・ホール

講演題目:
「安全・安心な社会を支えるロボット開発
 〜日本のロボット開発プロジェクト〜」

講演者:
 金広文男 氏
  独立行政法人産業技術総合研究所
  知能システム研究部門
  ヒューマノイド研究グループ
  グループリーダー

講演概要:
経済産業省とそのプロジェクト・マネジメント機関である(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は,これまでロボット産業の振興,競争力強化に向けて様々なプロジェクトを実施してきており,講演者もプロジェクトの実施者として,あるいはマネジメント側の立場で関わってきた.日本では人のみならずトンネルや橋などの社会インフラも高齢化(老朽化)が進行しており,様々な場面で人をサポートし,社会を支えるロボットの存在が一層重要性を増している.本講演では,これまでのプロジェクトの流れ,近年実施された,あるいは進行中のプロジェクトについて紹介する.

略歴:
富山県富山市出身.1999年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了.博士(工学).1998年より日本学術振興会特別研究員.2000年電子技術総合研究所入所.2001年より組織改変に伴い独立行政法人産業技術総合研究所知能システム研究部門研究員.2007年10月主任研究員.2007 年4 月より1年間仏国LAAS-CNRS 客員研究員.2012年12月より1年間(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)へ出向.ヒューマノイドロボットのシステム構成法,全身行動制御に興味がある.

特別講演4

日時:5月25日(日) 13:20~14:05
場所:富山国際会議場3階メイン・ホール

講演題目:
 スギノマシンにおけるロボット開発の取り組み〜CFRP切断から除染ロボットまで〜

講演者:
 杉野 岳
  スギノマシン 執行役員
   新規事業開発本部長
   兼 企画本部長

講演概要:
わが国における産業用ロボットの歴史は、1960年代の大学や民間企業での研究開発がスタートとされており、スギノマシンも同時期、当時の先端技術であったフルイディクッスを利用した、駆動・制御共にエア式のロボット『サブマン』の開発に取り組んでいた。その後のサーボモータ駆動ロボットの著しい進歩により、残念ながら『サブマン』が普及することは無かったが、この時の蓄積が、今日のわが社のロボット制御技術の礎となった。 産業用ロボットは、主に効率化やコストダウンを狙った、単純繰り返し作業の人間からの置き換えや、劣悪環境からの開放を目的に使用されて来たが、その後、高所や水中、狭隘部など、人間の入り込めない領域での検査・点検・保全・保守など、より精緻かつ人間では出来ないレベルへの適用が進められている。 1970年代以降、わが社では、「精密な狙い撃ち水流で、自動車部品などのバリ取り洗浄を行う高圧洗浄機」、「難削材やCFRP複合材などを3次元形状に切断するウォータージェットカッター」をはじめ、「原子力発電施設用6軸同時制御多関節ロボット」、「原子炉建屋除染作業用遠隔操作クローラ型ロボット」など、様々なロボット製品を世に送り出してきた。 本講演では、これらの開発経緯や特長・用途について紹介する。

略歴:
富山県魚津市出身、1997年 京都大学経済学部経営学科卒業、英国ロンドン大学留学、英国ウォーリック大学留学、1999年 豊田工機株式会社(現 株式会社ジェイテクト)入社、2001年 株式会社スギノマシン入社、2005年 同社 生産改善室長、2008年 同社 企画部経営企画室長 兼 生産改善室長、2009年 同社 新規事業開発本部新規開発部長、2011年 同社 執行役員新規事業開発本部長、2014年 同社 執行役員新規事業開発本部長 兼 企画本部長

特別講演5

日時:5月25日(日) 14:05-14:50
場所:富山国際会議場3階メイン・ホール

講演題目:
「川田工業(株)のロボット事業について」
講演者:
 川田忠裕 氏
  川田工業(株)及び 
  川田テクノロジーズ(株)
  代表取締役社長

講演概要:
川田工業の前身となる川田グループのルーツは,92年前に富山県で創業された鉄工所です.戦後の高度成長期に橋梁事業に参入し,首都高速や東名自動車道の橋梁建設工事,著名な案件では瀬戸大橋や明石海峡大橋,レインボーブリッジなど20世紀の日本を代表する長大橋の架設にも参画しました.近年では東京ゲートブリッジや富山県内でも新湊大橋,富山大橋などの大型橋梁を手がける一方,東京スカイツリーや歌舞伎座タワーなどの超高層ビルをはじめ,日本各地のドームやスタジアムなどの鉄骨を手がける橋梁・鉄構のトップ企業です. このように鋼構造物メーカーとしての実績を積み重ねてきた当社は,1987年から多角化のひとつとして航空事業に新規参入しました.結果としては,90年代のバブル経済崩壊後に撤退する航空事業の方向転換を模索する中から現在のロボティクス事業の原点が生まれました. 今回の講演では,当社が如何にしてロボット事業に関わるようになったのか,そして今後の展開で何を目指しているのかをご紹介します.

略歴:
1989年12月米国 サン・ディエゴ州立大学大学院航空宇宙工学専攻 修士.1985年5月 川田工業株式会社入社 1997年3月 同社 航空事業部副事業部長.1997年6月 同社 取締役航空事業部長.2002年4月 同社 取締役管理本部副本部長 兼 航空・機械事業部長.2003年6月 同社 常務取締役 常務執行役員管理本部副本部長 兼 航空・機械事業部長.2005年6月 同社 代表取締役社長.2009年2月 川田テクノロジーズ株式会社 代表取締役社長(現).2013年4月 川田工業株式会社 代表取締役社長 兼 鋼構造事業部長(現).社団法人鉄骨建設業協会 会長.社団法人日本橋梁建設協会 理事.

特別講演6

日時:5月25日(日) 15:10-15:55
場所:富山国際会議場3階メイン・ホール

講演題目:
 東京大学における知能ロボット研究-ヒューマノイドの研究とその動向
講演者:
 稲葉雅幸 氏
  東京大学大学院 情報理工学系研究科 教授

講演概要:
 知能ロボットは,環境に合わせて適切に行動するロボットですが,人が活動する環境で働く場合に,人と同じ大きさで人と同じような動きができる身体になっていれば,人が行けるところに行け,人が扱えるものを扱えることになり,人が行う様々なことを行えるロボットができると期待されています.人は,自分の身体でいろいろな作業ができるだけでなく,様々な道具を創りその道具を利用してさらに多くの仕事をこなします.ロボットも人と同じような大きさで同じような動きができれば,人が作った環境や道具をロボットが利用できるようになります.そのように人のための環境で人が作った道具を利用して社会や人のための役に立つことを期待されている知能ロボットはヒューマノイドと呼ばれています. 本講演では,筆者の研究室(東京大学 情報システム工学研究室)における知能ロボット研究をご紹介します.40年前の人工の手の計算機制御,30年前の柔らかい紐を扱えるロボット,20年前の小型でも人と同じく手足をもって全身行動するヒューマノイド,15年前からの背骨や肩甲骨をもつ筋骨格ヒューマノイド,10 年前に世界で初めて川田工業により発売されることになった等身大ヒューマノイドプラットフォームHRP2を用いた様々な知能ロボット研究,HRP2プラットフォームによる知能ロボット研究により継承された統合ソフトウェアにより,見守り,キッチン支援,片付け・掃除・洗濯支援を行う企業との産学連携研究,数年前から日本と世界で進むソフトウェアを部品化しオープンソースとして世界中に広まりつつあるコミュニティ開発の動向,福島の震災を契機に米国で一昨年から始まった災害対応ロボットチャレンジ競技会とそこへ参加した研究室卒業生のチームの活動と世界の動向についてご紹介してゆきます.

略歴:
1958年富山県小矢部市生まれ.1977年富山県立高岡高等学校卒業,1981年東京大学工学部機械工学科卒業,1983年東京大学大学院情報工学専門課程修士課程,1986年同博士課程修了,工学博士. 1986年東京大学講師工学部機械工学科,1989年同助教授情報工学専攻,2000年同教授機械情報工学専攻.2005年より東京大学大学院情報理工学系研究科創造情報学専攻,知能機械情報学専攻,学際情報学専攻兼担.現在に至る.知能ロボットシステムの発展的構成法の研究教育に従事.1987,1998,1999,2004年日本ロボット学会論文賞,1988年計測自動制御学会技術賞,1994年JIRA賞, 1994,1996,2002年日本機械学会ロボメカ部門ROBOMEC賞,1997年日本ロボット学会実用化技術賞,1998 年日本機械学会ロボメカ部門業績賞,1999第4回ロボティクスシンポジア優秀論文賞,2000,2006,2013 Humanoid国際会議Best Paper Award.日本機械学会フェロー,日本ロボット学会フェロー. 著書「ロボット・アナトミー」(岩波書店).

特別講演7

日時:5月25日(日) 15:55-16:40
場所:富山国際会議場3階メイン・ホール

講演題目:
「最近のマイクロナノロボット技術の進歩」

講演者:
 福田敏男 氏
  名古屋大学名誉教授・客員教授
  名城大学理工学部教授

講演概要:
ロボットは現在、世の中で活躍しており、いろいろな製品にもその技術が使われています。 マイクロロボットはロボットをミニチュア化して小さくしたものであり、さらに小さくするといろいろ利点があります。
1. 使用する材料が少なくて済む(エコ) 2. 回路も短く、体積が小さくなるので性能が飛躍的に向上します(高性能性) 3. 小さいためロボットがいろいろな製品に組み込むことができます(組込性) 4. 従来では不可能だった箇所も見ることができる。特に医学分野では必要となる(可視性) 5. これからのライフサイエンスのツールとして新しい発見や創造に用いられる(新規性) マイクロナノロボットを製作する際のスケールが小さいので、その技術的難しさに触れながら、その面白さについてお話します。

略歴:
1948年 富山県生まれ 1967年 富山県立富山中部高等学校卒業 1971年 早稲田大学理工学部機械工学科卒業 1973年 東京大学大学院工学系研究科産業機械専門課程修士課程修了 1973-1975年 Yale University留学 1977年 東京大学大学院工学系研究科産業機械専門課程博士課程修了工学博士学位取得 1977年~1982年 通商産業省工業技術院機械技術研究所研究員 1982年~1989年 東京理科大学工学部助教授 1989年~2013年 名古屋大学工学部教授 1998年~1999年 President, IEEE Robotics Automation Society 2000年~2002年 Editor-in-Chief, IEEE/ASME Transactions on Mechatronics 2001年~2002年 IEEE Director, Division X (System and Control) 2008年~ 日本学術会議会員 2013年~ 名城大学理工学部教授 名古屋大学名誉教授・客員教授 2013年~ IEEE Rigion10 Director
主たる受賞: 2013年 産学官連携功労者表彰文部科学大臣賞 2013年 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門25周年部門功労表彰 2011年 IROS Harashima Award for Innovative Technologies 2011年 日本機械学会論文賞及び技術賞 2010年 IEEE Technical Field Award on Robotics and Automation 2010年 日本ロボット学会功労賞 2010年 計測自動制御学会技術賞 2004年 IEEE Pioneer Award in Robotics and Automation 2005年 文部科学大臣表彰科学技術賞 IEEE Fellow (1995), SICE Fellow (1995), JSME Fellow (2001), RSJ Fellow (2004)

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