第58期(平成31年度) 中国四国支部 支部長 佐藤 一教
この度支部長を拝命した三菱日立パワーシステムズ(株)の佐藤一教です。 御承知のように、中国四国地方は昨年7月の豪雨により甚大な災禍に見舞われました。ただですら距離や移動の課題がある中で、 交通網は寸断され、支部の活動も大なり小なり影響をうけました。 私の住む地域の近くの山の土砂崩れの現場を見る度に、山斜面崩壊発生の起点、土砂流れの流体力学・・・ 事象の理解や復旧のため機械工学の知見を役立てる術はないものかと、ずっと思い続けています。
さて、中国四国支部では数年来、関東・東海・関西といった基幹支部の活動を見倣うだけではなく、支部の特色や固有の課題を捉えて、 活性化の手を打ちたいと議論を重ねてきました。 一気呵成に大きく舵を切るよりも、小さくとも少しずつ施策を積み重ねていく、というのが支部にとって現実的であろう、 という判断に至りました。
その試みのひとつは、機械工業・工学に日々携わりながら機械学会に距離をおかれた皆様に、学会に触れていただこうというものです。
この3月の定例講演会に、「産官学連携特別セッション」を設け、各県・市のコーディネータの方の支援を受けながら 発表の参加を募りました。 その結果所期の期待を大きく上回る19件もの申し込みをいただきました。大手企業のベンダーである企業、開発型ベンチャー・・ 内容も機械工学の学際である土木、化学、医療、インフラ、地域振興と幅広いものであり、発表の場でもフロアからはユニークな 質問が飛び交い、大いに盛り上がりました。
改めて感じたことは、小さな一歩でも前に踏み出してみれば足掛かりが得られる、という当たり前のことです。支部の皆様はじめ学会本部や各部門の方々と連係しながら、小さな前進を積み重ねたいと思います。 厳しさが増す支部の運営予算も然りです。削減ばかりでは意気消沈してしまいますので、輪が広がるような新しい試みしかもあまりお金があまりかからぬ工夫を試みていく所存です。
支部長退任の御挨拶 佐藤 一教
「恙なく任を終えることができました」と述べるのが常套的なのでしょうが、 今回はそうはならず、心もなかなか鎮まりません。 新型コロナウイルスの災禍により、支部最大の行事である 卒研発表会及び総会・講演会をやむなく中止せざるをえなくなりました。 会員の皆様は、講演発表の準備に多くの労を割かれたはずであり、 無念のまま年度を終える方も多かろうと存じます。
私は、問題提起や現状分析はできませんでしたし、そもそもその能力もありません。 その代わり所謂「隗より始めよ」の精紳で、 まず出来そうなことから自分で初めてみようと思い、 「企業と学生の交流会」「メカジョと留学生女子集会」を試みました。 関係者の皆様の御協力で、両者とも開催さえすれば成功は確実、という ところまで漕ぎ着けていただけに残念です。
しかし見方を変えれば、「小さな一歩でも踏み出してみれば支部でも実現できぬこ とはない」、 このような感触をつかめただけでも成果といえるのではないか、と振り返っています。
次は山口大学の齊藤俊先生にバトンタッチします。 皆様で齊藤先生を盛り上げていって欲しいと思います。 齊藤先生ならではのアイディアと切り口で、新しい企画を実現してくださるでしょう。
本来であれば、支部総会や懇親会の席で御挨拶するはずでしたが、今回はここで失礼します。 この1年間、どうも有り難うございました。