第55期(平成28年度) 中国四国支部 支部長 曽我部 雄次
このたび皆様のご推挙により、第54期(平成27年度)森本和夫支部長の後任として、 第55期日本機械学会中国四国支部長を拝命いたしました愛媛大学工学部の曽我部 でございます。約百二十年にわたる歴史と伝統を持つ日本機械学会の中国四国支部長を 仰せつかり,まことに身に余る光栄に存じます。
機械学会中国四国支部は、個人会員数約2800名(うち学生員約300名)、特別員約40法人で、 全国の機械学会の8%程度の規模を占めています。日本の総人口に占める中国四国地方の 人口比は8.9%ですから、決して多くはありませんが、小さいながら人口相当の規模と なっています。
中国四国支部の特徴は、人口規模の反面、対象とする活動範囲の広いことが挙げられます。 中国地方は山陽と山陰に、また四国も瀬戸内側と太平洋側に分けられ、これら4つの地域を 跨ぐ交通網が十分発達していないため、中国四国支部として活動しようとする際には、 多くの時間的経済的負担が生じることになります。中国四国支部は、このような困難にも かかわらず、毎年3月の総会・講演会のほかに、各地区での特別講演会や技術フォーラムと ともに講習会などの様々な活動を継続的に展開しており、これまでの支部役員の皆様の ご尽力に敬意を表したいと思います。
機械学会は、これまで機械工学および機械技術を発展・伝承することにより日本の高度成長を 支えてきたのはご承知のとおりであり、また同時に中国四国支部は中国・四国地方における 機械に関する学術および技術の進歩発展を図るという目的のために様々な活動をして参りました。 しかしながら、現在の日本は、少子高齢化という大きな課題に直面しています。日本の生産 年齢人口は、1995年頃をピークとして徐々に減少しはじめ、2040年ごろまでには、現在2016年の 70%にまで減少すると予想されています。このような情勢の中で、産業基盤を支える従来技術を 維持・発展させるとともに、新興工業国との競争に打ち勝つためには、新しい価値の創造および 技術革新の強化を図ることや、グローバル化、地域の産官学連携による地域活性化が重要である といわれています。
日本の基幹産業は、大都市圏に集中しているため、これまで機械学会の諸活動も、潜在的に 大都市の産業界を念頭においていたように思います。今後は、中国四国における"よりきめ細かな 地域"を意識して、地域企業の技術力の向上および人材育成を積極的に推進していく必要があると 思います。将来の日本をリードしていくことのできるような新しい機械技術を創出して中国四国 地域に根付かせ、地域の発展に貢献できることを目指したいものです。幸いにも、森本前支部長の下、 産学連携の推進について双方のニーズとシーズを調べるためのアンケート調査を実施しております。 今年度はこのアンケート結果の分析をもとに、今後の産学連携の効果的なあり方を検討していきたい と思います。また、昨年度より中国四国支部シニア会も正式に発足しております。貴重な経験を お持ちの諸先輩のお力も借りながら、今後も中国四国支部の活動の充実に繋げていきたいと考えて おります。
微力ではございますが、会員各位のご意見に耳を傾けつつ、地区幹事の皆様とともに本支部の発展 と円滑な運営のために努力していく所存ですので、宜しくお願いいたします。