ロボットグランプリ 組織運営委員長
東京工業大学 名誉教授 廣瀬 茂男
「ものづくり」は日本の御家芸であり、日本の屋台骨を支える産業を形成し、水際立った日本の工業製品は世界中から高く評価されています。しかし日本のものづくりの伝統は今、危機的な状況にあります。その原因の一つとして、マシンがあまりに高度化してしまった結果、マシンは使い捨てするものであって自分で創ったり直したりするものではないと一般の人々が感じ出したことにある、と私は考えています。そしてそれが、今の理科離れにも繋がっていると考えられます。しかし、本当は「ものづくり」というのはとてもエキサイティングで知的な遊びなのです。そしてもしも我々が、実際に物に触れたときの多様な感覚を十分体験し、ものを支配する多様な物理法則などに関する十分の知識を持ち、さらに先入観に囚われない自由な創造的精神を持つことができれば、環境問題をはじめとする世の中の多くの重大な課題は、「ものづくり」によって解決出来ると私は信じています。
「ロボットグランプリ」は、ものづくりを「知的スポーツ」として捉え、子供たちにものに触れながらその創造的な組み合わせによって与えられた機能を達成するマシンを創る喜びを知ってもらい、また一般の人たちにそれを楽しんで観戦してもらえるようにすることで、ものづくりを大衆化しようと考え開催してきています。
科学技術立国日本の将来は、エンジニアリングセンスに溢れるチャレンジ精神を持った若者たちにあります。そのような若者を育成しようとするロボットグランプリの活動に、是非とも皆様のますますのご支援をお願い申し上げます。
|