日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第125号

石川式マリノニ型輪転機
―折式新聞印刷機―

 明治期に新聞社などでは、フランスのマリノニ社が開発した輪転機を印刷に使用していた。三田製作所(現(株)東京機械製作所)の石川角蔵は、このマリノニ社の輪転機をモデルに国内技術で小型化や新機能で日本の実情にあうように、1906(明治39)年に煽(あお)り式輪転機を開発し、石川式マリノニ型輪転機と呼ばれた。
 大正期に入り、新聞の発行部数が増大したことから、煽り式では、印刷後の折り作業に著しい労力と時間を要した。これを1922(大正11)年に同社が折式輪転機を開発し、作業効率を劇的に改善したことにより、日本における新聞印刷の能力を向上させた。
 日本の新聞発祥の地である横浜のニュースパーク(日本新聞博物館)に常設展示されている石川式マリノニ型輪転機は、1926(大正15)年頃に製造されたと思われる。1936(昭和11)年までに62台製造されたうちの1台で、現存最古の国産折式輪転機である。本機は印刷後に連続して4折りが可能で、印刷速度は、4頁両面印刷で毎時24,000部である。同機は新聞社での稼働を経て、1965(昭和40)年から1986(昭和61)年まで、(株)化学工業日報社で業界新聞の印刷に使用されていた。

《写真提供:一般社団法人日本新聞協会》

公開

ニュースパーク(日本新聞博物館)

開館時間:
10:00~17:00(入館は16:30まで)
入場料:
一般400円、大学生300円、高校生200円、中学生以下無料
休館日:
月曜日(月曜日が祝日・振替休日の場合は次の平日)、12月29日~1月4日
住所:
〒231-8311横浜市中区日本大通11 横浜情報文化センター
電話番号:
045-661-2040
HPアドレス:
https://newspark.jp
交通機関:

みなとみらい線 日本大通り駅 3番情文センター口直結
JR・横浜市営地下鉄 関内駅から徒歩10分
横浜市営バス「日本大通り駅県庁前」から徒歩1分

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