P-SCD353「700℃級超々臨界圧(A-USC)発電技術に関する調査研究分科会」
目的及び調査研究事項:

我が国の総発電電力量に占める火力発電の割合は、2002年度で約60%であり、最も重要な電源となっている。石炭は世界中に広く分布しかつ豊富で、供給の安定性を有しており、化石燃料の中で最も経済的に優れているため、我が国では原子力に次ぐベース電源として石炭火力発電の開発が進められている。しかしながら、石炭は単位熱量当たりのCO2発生量が他の石油や天然ガスと比較して多いため、地球環境問題への対応からも、石炭火力発電の高効率化が重要な課題である。わが国では、石炭ガス化複合発電(IGCC)をはじめとした各種石炭利用発電技術開発が行われているが、超々臨界圧発電技術(USC)は、蒸気温度600℃級の実用化を迎えており、日本の技術は世界をリードしている。それに対し、海外ではEUを中心としたThermieや米国DOEを中心としたVision21など、蒸気温度700℃級を目標とした次世代USC開発プロジェクトが開始されている。炭種適合性の異なる様々な技術を使い分けることにより、有効な石炭利用を図るためにも、USC技術の高度化が必要である。このような状況に鑑み、本分科会では、幅広い石炭利用にはかかせない高効率発電技術となる、「700℃級超々臨界圧(A-USC)発電」の実現に向けた各種技術課題を調査・研究するために、主な研究分野として以下を計画している。
(1) A-USCプラントを構成する各種要素開発に向けた技術課題
(2) ユーザの視点に立ったA-USCプラントの開発課題
(3) A-USCプラントのトータルコスト評価

関連するこれまでの分科会としては、「21世紀の発電事業に対応した蒸気タービン技術に関する調査研究分科会(P-SC314)」および「石炭利用発電の高効率化技術に関する調査研究分科会(P-SCD338)」がある。新規分科会では、他の石炭利用技術の動向も調査検討することにより、幅広い石炭利用に対する可能性も明らかにする。

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