◇見学会報告◇
動力エネルギーシステム部門見学会  宇宙開発事業団(NASDA)種子島宇宙センター

2002年10月3日〜4日

 国際宇宙ステーションの利用が現実となりつつある昨今、宇宙輸送需要に即応した体制・施設の状況を見る機会として、2002年10月3・4日の日程で、鹿児島県種子島の東南端に位置する日本最大のロケット打ち上げ基地である種子島宇宙センターを見学しました。種子島へは、鹿児島から小型旅客機のYS-11で40分、あるいは高速船で1時間30分かけて行くしかなく、欠航の恐れもあって天候が最も心配されましたが、幸い両日とも素晴らしく良い天気でした。
 種子島宇宙センターは、南北およそ5km、東西およそ1.5kmの大規模なロケット射場で、重さ約4トン級の人工衛星を静止軌道に打ち上げることのできる大型のH-IIAロケットを現在は打ち上げています。以前は見学が比較的オープンでしたが、一昨年のアメリカでのテロ以降はセキュリティが極めて厳しくなり、今回の見学では見られない施設もありました。世界情勢が及ぼす影響の大きさを実感した次第です。それでもNASDAの現地の方々のご尽力によって、初日は、打ち上げたロケットや人工衛星の保安追尾や追跡・管制を行う増田宇宙通信所と国際宇宙ステーションやロケット技術の展示を行っている宇宙科学技術館、2日目は、打ち上げに関わる最終決定を行う竹崎指令管制棟・小型ロケットを発射する竹崎射場・固体ロケット燃焼試験場・H-IIAロケットを打ち上げる吉信射場の増強型射座・吉信発射管制棟(危険区域規制のため待避用地下トンネル通路から入館という貴重な体験をしました。)・大崎第一ロケット組立棟に保管されている従来型のH-II7号機を見学することができました。これらの施設は、現在の動力エネルギーシステムとは直接的な関連がないかもしれませんが、宇宙での動力源や遠い将来の太陽光発電衛星、地球規模の環境問題の観測などを通じて、ここ種子島と深い関係が生ずるかもしれないと思いを抱き、種子島宇宙センターを後にしました。
なお今回の参加者は総勢23名でした。宇宙センター見学という技術的な興味以外にも、種子島という鉄砲伝来の島、南の島の空と海の青さ、等などを堪能することができ、印象深い見学会でした。


講習会の様子

 講演者の方々から技術的,専門的な内容をかみくだいてわかり易く説明いただけたことにより,アンケートの結果も,有意義であった,参考になった,という意見を多数頂きました。

図1:種子島宇宙センター発射場の全景と集合写真 図2:改修中のH-IIAロケット発射台