「ガスタービンコンバインド発電プラントの現況」

三菱重工業(株)
原動機事業本部長 冨永 明

  1998年以降、世界の新規発電プラントに占めるガスタービンコンバインドプラント(以下CCと記す)の割合が70%強に増加した。これはCCの発電効率が高い、建設期間が短い、価格が比較的安い、また近年ガスタービンの信頼性が飛躍的に向上したことが要因である。最新型CCの発電端効率はHHV基準で50%を越えるようになった。効率向上はガスタービンの燃焼温度の高温化によるものが主因だが、併せてより高級な蒸気サイクル(蒸気温度、再熱サイクル)の採用が可能になったことも理由の一つである。なお燃焼温度はここ10年間で約350℃の高温化に成功したが、これは高温化に伴い厳しい環境にさらされるガスタービン動静翼の冷却技術の進歩によるものである。特にG形と呼ばれるガスタービンでは燃焼器の冷却に空気ではなく蒸気を採用し、その蒸気を蒸気タービンで活用することで更に高効率の実現を果たした。

  輸出CCは「フルターンキー」と呼ばれる土建工事開始から機器据付、最終調整試運転渡しまでを一括で請け負う形式が多い。三菱重工では大規模発電所を世界各地で効率よく建設するために「ON-TIME 情報ネットワークシステム」を構築した。社内外関連部所から発電所現地までの情報の共有化を行い、上流から現地工事までの業務の合理化を図ることが出来た。このシステムは設計開始から引渡しまで約28ヶ月の工期中、後戻りなく工事を円滑に遂行する上で大きく役立っている。 天然ガス燃料だけでなく、膨大な埋蔵量がある石炭をガス化しCC燃料として利用するIGCCの実現に向けて現在250MWクラスの実証機の建設計画が進められている。また将来的にはガスタービンの上流に燃料電池を加え、より一層の効率向上が達成できる燃料電池CCの実用化も21世紀前半には可能と考える。

このようにガスタービンコンバインドサイクルが燃料多様化と更なる高効率化を果たし、風力発電などの自然エネルギーと共に、今後一層環境問題解決に貢献することを期待したい。