「IT新世紀にむけたパワーソリューション事業 −知識とITをベースとしたベストソリューションパートナーへー」


(株)日立製作所 専務取締役
電力・電機グループ長&CEO
久野 勝邦

 世界規模のメガコンペティション時代の到来や、インターネットを核とするグローバルなネットワーク社会の出現により、ビジネスや社会のパラダイムシフトが起こっており、全ての企業が熾烈な競争にさらされている。こうした中で、21世紀にむけてこれからの企業が何を考えて行動していくかという点について、パワーソリューション事業を例に製造業からソリューションパートナーへの変革とIT化への取組みについて紹介する。

 当社は1910年に重電から事業を始め、今日、「総合電機」と呼ばれ、家電、コンピュータ、半導体事業にまで拡大し、「高い品質と高い生産性」をベースに製造業として「製品・システム」を提供している。これからの当社は、情報技術を核に全ての事業領域で新しいソリューションを提案するお客様の「ベスト・ソリューション・パートナー」を目指し、「スピードアップ」、「知識とITの強化」などに取り組み始めている。電力関連事業の事業環境も、設備投資の抑制、電力の自由化、価格競争の激化、分散電源などの普及などの進展に伴い競争がより激しくなることから、ITを活用し、グローバルにサービスを提供することで発電設備のライフサイクルコストの最小化に貢献していくことが、これからのサービスの方向と考えている。具体的なサービスの内容としては、プラント据付とフィールドサービス、プラント運用リモートモニタリングサービス、メンテナンスサービス、及びエンジニアリングサービスの4項目であり、いずれのサービスにもネットワークを利用した「IT化」とこれまでに培われた「知識」とがその技術の核となっている。

 パワーソリューション事業のIT化は、ネットワークを介してエネルギー情報を提供する総合エネルギーサービス事業から個人向けの生活支援サービスである家電機器の制御、ホームセキュリティー、あるいはエンターテイメントとしての情報系サービスまで幅広く考えられ、すでに一部のものについては取り組み始めており、「知識とIT」の活用によりお客様のライフサイクライフサイクルコスト低減に貢献していきたい。