「エネルギー・環境問題とガスタービン」

東京大学 生産技術研究所
教授  吉識晴夫

 エネルギーと環境問題には密接な関係がある.人類が生存して行く上で,エネルギーの消費は不可欠であり,人類はそのエネルギー源を産業革命以降,化石燃料に多く頼ってきた.人口の増大,経済活動の活発化に伴って,人類の活動が地球の浄化能力を超えてしまい,地球の容量の有限化が顕在化してきたことが地球環境問題と言える.エネルギー消費を削減するため,我国で下表に示すような陸舶用ガスタービン研究開発が行われてきた.


タービン入口温度と発電システムの熱効
我国の主な陸舶用ガスタービン研究開発

発電用 高効率ガスタービン(AGTJ-100)1978-1987
石油火力発電所メタノール
転換等実証試験
1981-1995
石炭ガス化ガスタービン1986-1996
セラミックガスタービン1988-1998
WE-NET(水素燃焼タービン)1993-1998
高温ガス炉ガスタービン(HTGR-GT)1997-2001
二酸化炭素回収対応
クローズド型高効率
ガスタービン
1999-2003
自動車用 セラミックガスタービン1990-1996
舶用 スーパーマリンガスタービン1997-2002


 次に,タービン入口温度(TIT)に対する発電用システムの熱効率を上図に示す.原子力発電(BWR,PWR)は,TITが約300℃で熱効率は低い.汽力(ST)もTITがそれほど高くなく,熱効率は40%程度である.最近のコンバインドサイクル(CC)は,TITが高く熱効率の向上が著しい.
 さらに高効率のガスタービンが実用化され,エネルギー・環境問題の解決の一助となることを期待したい.