日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第117号

プラネタリウム投映機 M-1型

 日本のプラネタリウムの歴史は1937(昭和12)年のドイツ製投映機導入に始まる。その後各地の天文研究家たちがプラネタリウムの試作を行った中、(株)五藤光学研究所は1959(昭和34)年にレンズ投映式のM-1型を開発した。これはドーム直径10mに投映するものであり、1959年から1970年代にかけて国内に19台が納入された。剛性不足による光学的精度の低下を防ぐために恒星投映部を中央に配置したモリソン式を採用している。
 この投映機は、わが国で天体の表現への興味が花開いた1950~60年代の技術的努力の指標とも言える。また、国内で最初に本格的に量産・市販された機種であり、わが国のプラネタリウム機器が世界的評価を獲得(日本製の世界シェア70%)する基礎となったもので、近代的プラネタリウムの要素(レンズ投映式、年周運動の投映)を実現している。
 東京海洋大学に1965(昭和40)年に設置されたM-1型投映機は、現在稼働している中では最古のものである。一部機器が更新されているが、基本的にはオリジナルの形式を保ち、稼働状態で維持されている。管理運営には学生も参画し、本体機器メンテナンスを行うなど、技術伝承にも役立っている

《写真提供:国立大学法人東京海洋大学》

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