日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第116号
手回しガラ紡機
この手回し紡績機は,その運転音から「ガラ紡機」と呼ばれたもので、大阪市の綿業会館に保存展示されている.明治政府の殖産興業政策の一環として,綿糸製造の生産性向上のために洋式紡績機が導入される中,臥雲辰致(1842~1900)が,高価な外国製に代わる単純な機構の手回し紡績機を発明し,1877(明治10)年に東京上野で開かれた第一回内国勧業博覧会に出品して,高評価を得た.国内における綿作地域の西三河地方に,臥雲のガラ紡機が導入(動力は水車)されたことがきっかけで,当地方の紡績業が急成長し,一大産地になった.その後,国産紡績機として日本各地に普及した.ガラ紡機は太糸需要に対応した生産に特化していたことから,戦後の生活様式の変化や洋式紡績機の復興などにより,1960(昭和35)年頃をピークに急速に衰退し,現在では極めて僅かとなっている.
本機は,1880(明治13)年代に製造された,日本の外貨獲得に大きく貢献した紡績産業の黎明期における象徴的国産機械である.なお,スケッチによる図面作成を経て,同一寸法品を製作した本機の複製品が,トヨタ産業技術記念館(名古屋市)で,今も一般市民向けに実演公開中である.
《写真提供:一般社団法人日本綿業倶楽部》
公開(事前要予約)
一般社団法人日本綿業倶楽部(綿業会館)
- 開館時間:
- 毎月第4土曜日の館内一般見学会をご利用ください。
見学当日の 受付時に 「 ガラ紡 を 見に来ました 」 と 受付担当者に お伝えください 。 - 利用料:
- 500円
- 休館日:
- 一般見学会以外でのご来館はご遠慮ください。
- 住所:
- 大阪市中央区備後町2丁目5-8
- 電話番号:
- 06-6231-4881
- HPアドレス:
- 交通機関:
- 大阪市営地下鉄御堂筋線本町駅 ・ 堺筋線堺筋本町駅 いずれの駅からも徒歩約5分。