日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第106号
平歯車研削盤 ASG-2形
機械要素の中で最も重要な歯車の加工では、騒音や振動を防ぐ対策として歯の研削加工が欠かせない。しかしながら、昭和の時代になっても国産の歯車研削盤はなく、世界的にみてもスイスのマーグ社など数社の製品があるのみで、国産化がわが国の機械工業発展のために急務となっていた。
岡本専用工作機械製作所(現(株)岡本工作機械製作所)の創業者岡本覚三郎は呉海軍工廠からの注文で歯車研削盤の設計に着手し、度重なる試行錯誤を経て1930(昭和5)年に国産初の平歯車研削盤「ASG-2形」を完成させた。日本工業大学工業技術博物館に保存されている本機は、終戦の1945(昭和20)年までに13台製造されたもののひとつで、博物館建設にあたり岡本工作機械製作所より寄贈されたものである。本機の銘板には、1941(昭和16)年製造を示す刻印があり、現存する最古の国産の平歯車研削盤である。
研削できる歯車の最大ピッチ円直径は500mm、歯幅は最大200mm、モジュールは最大8である。歯車を交換することにより、歯数などが異なる歯車の加工に対応できる独創的な機構を有している。
岡本工作機械製作所は、平歯車研削盤の開発を契機にして、その技術を継承し、平面研削盤を主力製品とする研削盤の総合メーカーとなっている。
《写真提供:学校法人日本工業大学》
公開中(事前予約不要)
日本工業大学 工業技術博物館
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