日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第105号
現存する国産初の電気搾乳機
バケットミルカー DK-5Ⅱ型
(資)共栄精機製作所(現オリオン機械(株))の太田三郎らは、輸入品の搾乳機の構造を参考にし、自社の真空ポンプ技術と組み合わせることで、1957(昭和32)年に国産初の電気搾乳機を開発した。
この搾乳機は、搾乳部、ミルククロー、バケット、パルセータと真空発生装置で構成されている。搾乳部はステンレス製カップの中にゴム製のライナーが挿入された2層構造で、ライナー内を0.5気圧程度まで減圧し乳を吸引する。また、単純吸引では牛にストレスを与えるため、ライナーとカップの間の空間を大気圧と真空に交互に切り替え、大気圧の間はライナーがつぶれて乳頭を包み込むことで吸引を休止する。吸引の周期は、真空圧で機械的にバルブを切り替えるパルセータによって毎分40回程度に設定される。接合部は、はめ込みあるいは切削加工により生乳の滞留を防ぎ衛生的配慮がなされている。
本機は酪農家から譲り受けたもので、搾乳部とバケット部は1957(昭和32)年に製造されたDK-5Ⅱ型で、ミルククロー部と真空発生装置はDK-6型に交換されている。
本機は、輸入品に比べ安価で性能も劣らず、酪農家を手搾りの重労働から解放し、また、牛乳の安定供給を実現するなど、国民の健康増進にも大きく貢献した。搾乳機構は現在でも同様である。
《写真提供:オリオン機械株式会社》
公開(事前予約)
オリオン機械株式会社 酪農開発センター
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