日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第90号

全自動手袋編機(角型)

 作業手袋は、軍手(軍用手袋)と呼ばれ明治時代より使われている日本で生まれた編物である。それまでの手袋編機は、手動機または半自動機が主流で、手袋編成の際には各指や、手の平、手首部分の接合に、必ず手動操作が必要であった。
 本機は、1964(昭和39)年に(株)島精機製作所が開発した全自動手袋編機で、指先の編み始めから各指のつなぎ、手の平、手首までを一体化して編むという全自動の手袋編機である。概寸は、奥行き325mm、幅840mm、高さ1,200mmである。また、世界で初めて編目を押し下げるシンカーニット方式を採用し、安全性に配慮して手首にゴム糸を通すというアイデアも盛り込まれた編機である。手動または半自動の手袋編機では、手袋1枚を編む所要時間は作業者の熟練度に大きく左右され、半自動の機械でも1枚3分以上、1人3台の操作が限界であった。本機の登場で、1枚2分15秒、1人30台の運転が可能となり、手袋製造の生産性が著しく向上した。その技術は現在の無縫製ニットウェアを編成するホールガーメント横編機へと繋がっている。
 本機は、実際に使用されていたもの(1968年製)を同社が現存最古のものとして回収し、修理した後、和歌山市にある展示施設で動態保存されている。

《写真提供:株式会社島精機製作所》

公 開

ニットの博物館 フュージョンミュージアム

開館時間:
10:00~19:00(入館は18:30まで)
入場料:
無料
休館日:
1/1~1/3
住  所:
〒640-8033 
和歌山県和歌山市本町2-1フォルテワジマ3階
電話番号:
073-488-1962
HPアドレス:
http://www.shimaseiki.co.jp/
交通機関:
JR「和歌山」駅から和歌山バス乗車「本町2丁目」バス停下車すぐ

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