日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第74号
小林式定置木炭ガス機関
-燃料不足を支えた元祖バイオマスエンジン-
わが国の戦中戦後の石油欠乏期、政府による木炭ガス発生装置普及・奨励の施策もあって、民需動力の多くを木炭ガス機関が支えた。木炭ガス機関は、木炭から一酸化炭素を抽出する‘木炭ガス発生炉’、異物を除去し体積効率を高める‘冷却清浄機’、そして‘吸入ガス発動機’からなる。各地で工夫開発が行われ、1955(昭和30)年前後まで活用されたが、その後、石油事情の好転と始動時間の長さ、トルク不足などの構造的欠点が原因で消滅した。木炭ガス機関は、原動機の歴史からは外れた一時的な存在であるが、昨今のエネルギー問題への対応策として注目される‘バイオマス’を利用した動力の元祖といえる。
この小林式木炭ガス機関は、1914(大正3)年に石油発動機の設計製作販売を始めた小林秀太郎が1928(昭和3)年に開発を開始した、マグネトー(磁石発電機)を用いた電気着火式の定置木炭ガス機関で、製造は1936(昭和11)年である。分割できるため可搬性が高く、容易な部品交換で石油発動機に転用できるなど、独自の工夫がされている。また、現在、設計図、鋳物木型、生産・経営資料も残っており、当時の中小発動機メーカーの創意工夫・努力を背景とした総合的モノづくりの歴史を知ることができる。
《写真提供:株式会社御池鐵工所》
公開(事前予約要)
株式会社御池鐵工所
- 開館時間:
- 10:00~16:00(※要事前予約)
- 利用料:
- 無料
- 利用できない日:
- 土、日、祝祭日、年末年始、お盆など
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