日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第73号

国産初の硬貨計数機

 本機は、1918(大正7)年創業の国栄機械製作所(現グローリー(株))が1949(昭和24)年に造幣局の依頼を受けて開発し、その翌年2月に納入がなされた硬貨計数機である。
 鋳鉄製の皿に投入された硬貨は遠心力で皿の内壁に押し付けられ、1枚ずつ繰り出され、計数される。全8台が製造され、7台が造幣局に納入された。残る1台が本機である。
 当時、造幣局では、輸入品の硬貨計数機を使用していたが、大型で60万円と高価なため、小型で安価な硬貨計数機の国産化が望まれていた。本機は、それまでの外国製のものより小型化し、単純な構造とし、しかも硬貨計数の精度を向上させたものである。このことが評価され、民間銀行からも納入の要請を受けた。その後、同社ではさらなる改良を加え、1953(昭和28)年9月に民生用の試作機、10月に商用第1号機が完成し、販売価格12万5千円で12月に20台が納品された。
 本機は、硬貨を選別して計数する機械として国産初のものであり、銀行業務の省力化・高信頼化に大きく寄与した。その技術は後に、それぞれ国産初となる、チューインガムやたばこの自動販売機、硬貨自動包装機、千円紙幣両替機、紙幣整理機など、日常生活の様々な分野で用いられるようになった。

《写真提供:グローリー株式会社》

公開(事前予約要)

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