日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第72号

「ミカサ」のオートマチック・トランスミッション
-日本のAT車ここにはじまる-

 本装置は、国産初のトルクコンバーター(流体変速機)を採用した四輪自動車として、1957(昭和32)年に発表された「ミカサ」に搭載されたオートマチック・トランスミッション(自動変速機)である。本装置は、(株)岡村製作所が1951(昭和26)年に開発に成功したトルクコンバーターとトランスミッションからなり、さらに、2気筒の水平対向エンジンと一体化されて、1つのパワーユニットを形成している。現在は、「ミカサ(ミカサツーリング)」に搭載された形で原形保存されている。この認定対象のシステムの外に、パワーユニット部だけを取り出して、カット模型化されたものが併せて‘オカムラいすの博物館’に展示されている。本装置の搭載車である「ミカサ」は、延べ五百数十台が生産された。
 同社の自動車生産部門はその後廃止され、自社自動車用としてのトルクコンバーター生産は行われなくなったが、現在でも、同社内にはトルクコンバーターの開発及び製造部門があり、フォークリフトなどの特殊車両用のトルクコンバーターを生産している。培われた技術は、絶えることなく今に引き継がれている。

《写真提供:株式会社岡村製作所》

公開(事前予約要)

オカムラいすの博物館

開館時間:
9:00~17:00(※前日の午前中までに予約)
利用料:
無料
利用できない日:
土、日、祝日
住  所:
〒100-0014 
東京都千代田区永田町2-13-2
電話番号:
03-3593-6195
HPアドレス:
http://www.okamura.co.jp/company/museum/index.html
交通機関:
東京メトロ銀座線・丸ノ内線「赤坂見附駅」から徒歩5分

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