日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第50号

多能式自動券売機

 世界初の多能式自動券売機は、髙見澤電機製作所自販機事業部(現高見沢サイバネティックス)にて、1962(昭和37)年に開発された。多能式とは、印刷機構を備えて、発売のたびにロール紙に運賃等を印刷する方式であり、この方式により複数券種の乗車券が発売できるようになった。
 本機は、世界初の多能式技術をベースに量産化されたモデルで、現存し稼動する最古の多能式自動券売機である。制御部は、およそ250個のリレーにより構成されている。また、独創的な機械式硬貨処理機構により、各種硬貨の選別・蓄積・釣銭払出し機能だけでなく、さらに擬似硬貨検出機能も備えている。
 1969(昭和44)年製の本機は、1970(昭和45)年に万国博覧会場前の北大阪急行電鉄万国博中央口駅に設置された。その後、浴場の入場券発売機として使用されていたが、再び同社に引き取られ、当時と同様に稼動できる状態で保存・展示されている。
 現在、多能式自動券売機は鉄道に限らず多方面で活躍している。本機はその歴史的意義とともに、その後の鉄道各社の駅等の自動券売機として普及していく契機となったもので機械技術の独創性と優秀さを示す遺産である。

《写真提供:株式会社高見沢サイバネティックス》

公開(事前予約要)

(株)高見沢サイバネティックス 長野第3工場 (技術棟)

開館時間:
10:00~16:00
利用料:
無料
利用できない日:
土、日、祝祭日、年末年始、お盆 など
住  所:
〒384-0412 
長野県佐久市田口5662
電話番号(公開施設):
0267-82-7331
HPアドレス:
http://www.tacy.co.jp
交通機関:
JR小海線(八ヶ岳高原線)中込駅からタクシーで約5分
長野新幹線佐久平駅からタクシーで約15分
(最寄り駅である太田部駅と龍岡城駅は無人駅です。)

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