日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第29号
機械式通信機器群
(谷村株式会社新興製作所製)
株式会社新興製作所は1937(昭和12)年東京市蒲田区で創業し、1945(昭和20)年戦時疎開命令で創業者谷村貞治の故郷花巻へ移転し、卓越した技術力により機械式通信機器分野において昭和40年代まで国内のトップメーカーであり、これら機器は通信方式が電子式に変わる以前、我が国の戦後復興期の情報通信を支えた貴重な機器資料である。
同社花巻本社ショールームに展示されている1947(昭和22)年製の鍵盤さん孔機は、GHQの指令で国内の電信網を復旧するにあたり、それまでのモールス式音響通信からカナ現字式のものに仕様が変更されることを受けて、我が国で初めて国産開発に成功した機械である。このほか、1956(昭和31)年のサービス開始当初国内シェア100%を獲得したテレックス、翌年に国内シェア64%を記録した三段シフト式カナ欧文テレプリンタ、そして我が国で初めて実用化に成功し1965(昭和40)年の国内シェア67%であった新聞用漢字テレプリンタなどが同社の現行生産品と並び管理展示されている。
2008年、一部の国語辞典から‘漢テレ’という見出し語が消えた。漢テレという言葉を作ったともいえる新興製作所の機械式通信機器群がこの年に機械遺産として認定された事は、これら機器が果たした役割を振り返るとき時宜にかなっていると言えよう。
《写真提供:株式会社新興製作所》
公開(事前予約)
株式会社新興製作所
- 開館時間:
- 10:00~16:00
- 利用料:
- 無料
- 利用できない日:
- 土、日、祝祭日、年末年始、お盆 など
- 住 所:
- 〒025-0354
岩手県花巻市大畑第9地割92-6 - 電話番号:
- 0198-26-4311
- HPアドレス:
- http://www.shinko-exc.co.jp/
- 交通機関:
- 東北新幹線 新花巻駅より車で約15分