日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第28号
円太郎バス(フォードTT型)
「円太郎バス」は1923(大正12)年の関東大震災で被災した東京市内の路面電車の代替交通手段として、東京市電気局がアメリカ・フォード社から貨物自動車用シャシを緊急大量輸入し、これに木製車体(客室)を新製したものである。車体前方のガソリン機関から推進軸が床下後方に延びて後軸をウォームギアで駆動し、運転席床上には運転用足踏みペダルが三本取り付けられている。これらはフォードTT型独特の方式である。1924(大正13)年1月18日に、中渋谷―東京駅前と巣鴨―東京駅前の最初の2路線が開業した。
明治初期に、落語家の四代目橘(たちばな)家円太郎が、東京市内を走っていた乗合馬車の御者のラッパを吹いて演じたところ、‘ラッパの円太郎’といわれて大いに受け、乗合馬車が「円太郎馬車」と呼ばれた。この乗合馬車とバスが形態面で類似していたことから、新聞記者が「円太郎バス」と名づけ、広く呼ばれるようになった。
現存する唯一の「円太郎バス」であり、現存する国内最古のバスでもある。東京市から払い下げを受けた柏学園が使用し、1955(昭和30)年に東京の交通博物館に寄贈され、長く同館に保存・展示されていた。交通博物館閉鎖のため、2007(平成19)年からは、東京都交通局にて保存中である。
《写真提供:鉄道博物館》
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