日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第27号
三池港水圧式閘門と蒸気式浮クレーン
有明海に面する福岡県大牟田市の三池港は、かつての三池炭坑で産出する石炭の積出港として三井鉱山により1908(明治41)年に築港された。本事業に際しては、港湾設備に関する欧米の最新事情を知る団 琢磨の尽力が大きかったといわれる。
有明海は干満の差が非常に大きいため、閘門式が採用された。内外港を隔てる閘門は英国製で、観音開きの門扉は水圧で駆動される。満潮時には門扉を開いて船舶を出入りさせ、干潮時には門扉を閉じて内港内の水位を保つ。内港には1万トン級の船舶が停泊可能である。この閘門は100年経った今でも現役で稼動しており、しかもほとんどの機器が建設当時のものである。
また、内港には浮クレーン「大金剛丸」が停泊している。これは、台船(自走できない浮体)上に蒸気駆動の15トンクレーンが取付けられたもので、三井鉱山が1905(明治38)年に大阪築港会社から中古品として購入したものである。クレーンは製造当時のものであり、今も現役として海上作業などで活躍している。
これら閘門と蒸気式浮クレーンがある三池港は、明治以降、日本の近代化に大きく貢献した石炭産業の機械技術が遺る極めて貴重なサイトである。
《写真提供:大牟田市教育委員会》
閘門:原則公開
蒸気式浮クレーン:原則非公開
三池港
- 住 所:
- 〒836-0061
福岡県大牟田市新港町1 - 電話番号:
- 0944-57-3105
三池港物流(株) - 写真借用許可申請先:
- 大牟田市教育委員会
文化・スポーツ課
電話番号:0944-53-1503