日本機械学会「機械遺産」 機械遺産 第10号

高周波発電機

 高周波発電機は、基本周波数と大出力を発生させる長波送信設備の心臓部で、主直流電動機により駆動される。電機子(回転子)は質量が16tで256の歯を有する歯車状の構造である。これと対応する固定子には鉄心に巻かれた界磁捲線と出力捲線が円形状に配置されている。規定回転数1,360rpmの時、5.814kHzの周波数と500kWの出力が発生する。1929(昭和4)年にドイツ・テレフンケン社の設計、AEG社の製作によるものである。
 設置されていた依佐美送信所は、1929(昭和4)年に建設され、当時としては世界最大級の無線送信施設で、長波によるヨーロッパへの送信が日本で初めて行われた。これにより当時の外交や通商は飛躍的に向上したのである。後に短波通信設備も強化され、長・短波ともに日本の国際通信施設としての重要な役割を果たしたが、第二次世界大戦後の米軍による接収、1994(平成6)年の日本への返還を経て、その役割を終えた送信所は2006(平成18)年に解体された。
 2007(平成19)年4月より「花と緑」をテーマの「フローラルガーデンよさみ」の一角に依佐美送信所記念館を建設し、高周波発電機を主とした関係資料を展示し、一般公開している。

《写真提供:愛知県刈谷市》

公 開

依佐美送信所記念館

開館時間:
9:00~17:00
利用料:
無料
利用できない日:
月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
住  所:
〒448-0812 
愛知県刈谷市高須町石山2番地1
フローラルガーデンよさみ内
電話番号:
0566-29-4330
HPアドレス:
http://yosami-radio-ts.sakura.ne.jp/contents/heritage.html
交通機関:
刈谷駅南口よりタクシー約7分
刈谷駅南口より刈谷市公共施設連絡バス(無料)小垣江駅東口行約30分

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