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2023年度部門表彰者の声:優秀研究講演賞
関西大学
谷 弘詞
このたびは2023年度 日本機械学会 情報・知能・精密機器部門 部門賞 優秀講演研究賞を授与いただき誠にありがとうございました。この賞の対象は2023年の日本機械学会年次大会で発表した「タイヤ内面に取付けた圧電センサを用いたタイヤ路面間摩擦係数の推定」という研究に対してであり,我々の研究に対してご理解とご期待をいただけたことを感謝申し上げます。また本講演は、修論研究の一つの成果を報告したものであり、果敢に実験に取り組んでくれた学生達にも心より感謝いたします。
本研究では,電動一輪車のタイヤ内に取付けた圧電センサを用い,タイヤと路面との接地面での出力を解析することにより,路面の摩擦係数の推定可能性を検討したものです.実際の路面で摩擦係数を変化させることは至難なため,ロータリーテーブルに氷を貼り実験したので,実験は氷が融けるまでの時間との勝負でした.業務用の氷掻きでシャーベット状氷を敷き詰める実験も行いましたが,こちらはタイヤの轍によってタイヤが飛び跳ねてうまくデータを取ることが出来ませんでした.いずれにしても学生たちの苦労のたまものです.実際の路面では,傾斜によって輪荷重も変化しますし,路面の粗さの影響も考えられることから,さらなる検討が必要だと考えられます.しかし,自動運転を前提としたときに,その安全性を高めるためには,このような路面の摩擦状態をモニタリングすることが必要だと考えられます.
また,別途研究しているタイヤ内へ組込む摩擦発電機によるバッテリーレス化も含めてタイヤのインテリジェント化を進めていきたいと考えています.情報・知能・精密機器部門の研究として,今後とも関係する多くの方々からのご助言とご指導をお願い申し上げます。