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2023年度部門表彰者の声:ベストプレゼンテーション表彰
北海道大学
高廣 望
この度はIIP2023 情報・知能・精密機器部門講演会において発表した「光干渉リソグラフィにおける干渉定在波の「その場」観察に関する研究」に対し,情報・知能・精密機器部門 ベストプレゼンテーション表彰をいただき大変光栄に存じます.本研究を遂行するにあたり,ご指導とご鞭撻を賜りました北海道大学 清水 裕樹 教授をはじめとし,ご協力いただいた皆様に対して深く御礼を申し上げます.
当方の研究は,光の干渉縞を用いた露光(リソグラフィ)を行い,回折格子を生成する際の干渉縞間隔(ピッチ)の精度向上とアライメント・スループットの迅速化を目的としたものです.
従来の光干渉リソグラフィでは,フォトレジストに感光性をもつ波長(λB)を有する露光用レーザを用いて干渉縞を作成し,フォトレジスト基板上に露光します.一方,本研究では,フォトレジストに感光性を持たない波長(λR)を有する観察用レーザを露光装置上に新たに導入しました.露光用のレーザと観察用のレーザを,ダイクロイックミラーにて同一光軸上に重ね合わせて干渉縞を作成することで,2つの異なるピッチを有する干渉縞を同時に得ることができます.2つの干渉縞ピッチの間には,2つのレーザ波長から決定される比例定数(λB/λR)を用いることで図(A)に示される関係式が成り立ちます.この関係性を用いることで,レジストを透過する観察用レーザによる干渉縞のピッチ(dR)を「その場」観測することにより,従来はレジストに吸収されて観察が困難であった露光用レーザによる干渉縞ピッチ(dB)をリアルタイムで推測できます.
受賞対象となった発表では,この提案手法を図(B)に示す光学系プロトタイプを構築し実験的検証を行うことで,干渉縞ピッチの精度向上とアライメント・スループットの迅速化の実現可能性を確認した結果について報告しました.
最後になりますが,自分にとって初めての学会発表ということで緊張する場面もありましたが,発表練習や研究の成果をベストプレゼンテーション賞という形で評価して頂いたことを,大変うれしく思います.本受賞を励みとし,引き続き修士,博士課程での研究活動に真摯に取り組んでいくとともに,少しでも世の中の技術発展に貢献できる研究者になれるよう日々努力を重ねて精進していきたいと考えています.また,今後も日本機械学会IIP部門の学術講演会等に参加して参りますので,引き続きご指導ご鞭撻のほど,よろしくお願い申し上げます.