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2023年度部門表彰者の声:ベストプレゼンテーション表彰
東北大学
奥山 武志
この度は、日本機械学会2024年度年次大会において発表した「触診位置情報取得システムを組み込んだ手動型乳房触診センサシステムの開発」に対し、情報・知能・精密機器部門ベストプレゼンテーション表彰を受賞しましたことを、大変光栄に存じます。
今回受賞対象となった研究は、乳がんの早期発見を促進するために、乳房の状態を日常的にセルフチェックする際の触診をサポートするセンサシステムを開発することを目的としています。セルフチェックは早期発見のために極めて重要ですが、自分の感覚に自信が持てないなどの理由から、あまり行われていないとの報告があります。そのため、感覚のあいまいさをセンサにより客観的なデータとして示すことが必要であると考え、この研究に取り組んでいます。
このセンサシステムは、手で覆うようにセンサを持ち、手動で乳房上を走査させ、その際に乳房からセンサに加わる力を計測しています。本研究では、しこり上を走査させた際の力情報の特徴を解析し、しこりに伴う力変化の特徴量を明らかにしました。また、位置情報を取得するためのセンサを組み込むことで、しこりによる特徴量の分布を得ることができ、検知されたしこりの大まかな位置を示すことができました。この研究成果がセルフチェックの促進の一助となり、健康の維持増進に寄与することを期待しています。
今後も今回の受賞を励みに、人々の健康に貢献するシステムの創出に向けて、さらなる精進を重ねてまいります。
図1 しこりを有するファントムに対する検証実験の様子
図2 実験で得られたしこりの特徴量分布の一例