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2022年度部門表彰者の声:優秀研究講演賞
山陽小野田市立山口東京理科大学
吉田 和司
このたびは2022年度 日本機械学会 情報・知能・精密機器部門 部門賞 優秀講演研究賞を授与いただき誠にありがとうございました。ベルトの挙動に関する講演で地味な内容ではありましたが、帯状のフィルムや紙媒体の搬送技術に関わられている方々から高い興味と評価をいただいたことに感謝申し上げます。また本講演は、卒業研究の一つの成果を報告したものであり、多くの測定作業と測定作業効率向上に取り組んでくれた学生と助教の方々にも心より感謝いたします。
受賞対象となりました講演題目は、昨年夏に開催されたMIPE2022で発表した「Lateral motion of a flat belt in the open-end belt system with in-plane misalignment」です。本講演のベースとなった研究の最終目標は、ベルトを初めとするフィルムや紙媒体などの帯状媒体の搬送時に生じる横ずれの発生メカニズムを解明することであり、その第一段階として、実験によって最も基本的な一方向に搬送される(周回しない)ベルトの挙動を把握することに取り組みました。その結果、ベルトに生じる横ずれの方向はベルトが掛けられた隣接するローラ間の相対角度(ミスアライメント角度)の方向より、むしろ相対角度も関係する隣接するローラの位置におけるベルトの相対位置が関係していることを見出しました。またベルトには下流側のローラ軸に垂直に搬送されるような搬送メカニズムが存在し、周回しないベルトの搬送機構では隣接する下流側のローラの位置におけるベルトの位置が上流側のローラの位置におけるベルトの位置と一致するようにベルトが横方向へずれることがわかり、下流側におけるベルトの位置を予測する定式化も行いました。これらの内容は、今後の帯状媒体の搬送技術の高度化に何かしらお役に立てるのではないかと思います。
本研究での取り組みは、実験で現象を観て考察することの重要性を改めて教えてくれたように思います。上述しましたように今回の取り組みは最終目標へ向けた第一段階のものであり、現在、次の段階での作業に取り組んでおり、あくまでも実験結果に基づいた帯状媒体の横ずれ発生メカニズムの解明に固執して目標を達成したいと考えております。今後とも、関係する多くの方々からのご助言とご指導をお願い申し上げます。