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2020年度部門表彰者の声:優秀講演奨励賞
北海道大学
阿部すずか
この度は、日本機械学会2020年度年次大会にて発表しました「Scanning Cyclic Pressを用いたマグネシウム合金の表面改質に及ぼす負荷繰返し数の影響」に対し、優秀講演奨励賞を賜り、大変光栄に存じます。ご指導いただいた先生方をはじめ、潟nイブリッジ様、ご協力いただいた方々にこの場を借りて深く御礼申し上げます。
受賞しました研究は、本研究室で開発した新たな表面改質技術であるScanning Cyclic Press(SCP)をマグネシウム合金(Mg)AZ31に適用し、表層組織の変化を観察したものです。SCPでは、丸棒試験片に回転と送りを与えながら、精密な荷重制御の下で振動するインデンターを材料表面に相対的に走査させることで、数十N 程度の低圧縮荷重を繰り返し与え、金属表層組織を微細化させます。これによって、Mg合金では表層の硬さが増加し、疲労寿命や疲労限度が改善されるという結果が得られています。また、これらの改善効果は、Mg合金だけでなく、鋼など他の金属材料でも確認されました。このように、SCPは材料の諸特性を改善することができるため、Mgのように優れた性質を持つものの強度に関しては弱点がある材料の適用分野を拡大し、ひいては優れた特性を有する機器・構造物を実現する技術として期待されます。SCPでは加工時に種々の加工パラメータを設定しますが、本研究では、その一つである負荷繰返し数が表面改質の効果に及ぼす影響に着目しました。本手法を用いて効率的かつ効果的に材料特性の改善や組織制御を行うために、加工パラメータの影響を把握することは、SCPによる表面改質のメカニズムを明らかにする上でも重要です。
今後もこの受賞を励みとし、より一層研究活動に邁進してまいります。最後になりましたが、日本機械学会情報・知能・精密機器部門の益々のご発展を祈念し、受賞の挨拶とさせていただきます。
図1 SCP概念図 | |
図2 SCP試験装置外観 | 図3 試験片取り付け部 |