Home > ニュースレター バックナンバー > ニュースレター50号 > 2018年度部門表彰者の声:優秀講演奨励賞
2018年度部門表彰者の声:優秀講演奨励賞
九州大学
本田功輝
このたびは,日本機械学会2018年度年次大会にて発表致しました,「振動刺激パラメータ変更による肘関節伸展動作補正に関する研究」に対して優秀講演奨励賞を頂き,大変光栄に存じます.このたびの受賞は何よりも指導教員の木口量夫教授のご指導に拠る所が大きく,この場をお借りして厚く御礼申し上げます.また,研究を遂行するにあたって多くの助言とご支援を頂いた荒田純平准教授をはじめ研究室のスタッフの方々や学生諸氏にも,この場を借りて感謝申し上げます.
私たちの先行研究において,機械的な振動刺激を人間の皮膚表面から筋肉へと与えることによって,人間の運動感覚に錯覚を生じさせ,「このように動かしたい!」,という人間の動作意図と異なった動作を生成する手法を提案致しました.また,私たちはこの動作変更量が,振動刺激の周波数を変化させることにより増減可能であることも発見致しました.これらの結果を踏まえ,今回受賞致しました研究では,「任意の目標動作と,実際の動作との差に応じて振動刺激の周波数を増減させれば,人間の動作を目標動作へと補正することができるのではないか」という仮説を立て,実際に人間の肘関節伸ばし運動中に動作補正実験を行い,被験者の肘関節運動を目標運動へ補正することに成功しました.
日常生活においては,自身の動作意図に基づいた運動によって,思わぬ事故(体と障害物との衝突など)が起こり得ます.私たちの研究が最終的に目指す目標は,このような事故が発生しそうなときに,体に装着した簡易なバイブレータによる振動刺激を用いて危険な動作を安全な動作へと補正する「認知アシスト技術」を実現することです.
今回の受賞を励みに日々研究に邁進し,将来はおもしろく,かつ有用な研究を社会に提供する研究者になりたいと考えております.このたびはこのような素晴らしい賞を頂き本当にありがとうございました.
肘関節伸ばし運動の動作補正模式図
振動刺激周波数を,「目標肘関節運動」(右上黒破線)と「生成された肘関節運動」(右上青実線)
との差に応じて変えることで,目標肘関節運動への動作補正が行われる