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2016年度部門表彰者の声：優秀講演論文賞
東海大学工学研究科機械工学専攻
今井 貴博
この度は、日本機械学会2016年次大会において発表した「薄膜ウェブにおける熱粘弾性特性および厚みムラを考慮した巻取りロール内部の応力解析と巻取り条件の最適化」に対して情報・知能・精密機器部門 優秀講演奨励賞を頂き，大変光栄に思っております．今回の研究発表に対して評価していただけたのは，的確なご指導頂きました東海大学 橋本巨教授，落合成行教授，砂見雄太講師，日ごろより支援を頂きました研究室諸氏のおかげであると思っております．この場を借りて心より御礼申し上げます．
受賞しました研究は，近年注目が集まっているリチウムイオン二次電池やフィルムコンデンサの素材となる薄膜ウェブを対象にしたものになります．これらの製品はウェブを多数のローラにより支持・搬送し，延伸や塗布，乾燥などの加工工程を連続して行うロール･ツー･ロール・プリンティッド・エレクトロニクス方式によってデバイスの低コスト・大量生産が可能になると期待されております．しかしながら，最終工程となる巻取り工程では巻取り条件が不適切であると不具合が生じるため，巻取り品質が製品性能や安全面を左右することになります．そのため，膜厚さ数マイクロメートルの薄膜ウェブにおいても巻取り時の不具合を完全に防止する必要があり，その一歩として薄膜ウェブの熱粘弾性特性をクリープ試験によって評価しました．この実験では，従来の実験で使用するウェブより薄膜なものを使用したため測定値がなかなか安定せず実験装置の見直しや測定方法の改良など試行錯誤をしながらも取り組めたことがこのような形で評価していただき，大変貴重な経験をさせていただきました．
2017年現在，社会人として日々様々な事に直面しておりますが，この度の受賞を励みに今後の業務に取り組む所存です．最後になりますが，日本機械学会情報・知能・精密機器部門の益々のご発展を祈念し，御礼の挨拶とさせていただきます．
クリープ試験概略図