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2011年度「IIP部門学生サマースクール」報告


工学院大学 鈴木 健司

 IIP部門では,2007年度より当部門で活躍する研究室の学生を対象として,1泊2日の合宿形式による学生サマースクールを実施しています.通常の講演会などでは討論の時間が少なく,学生どうしの交流の輪が十分に形成されていないのが実情ですが,本サマースクールでは,学生中心の発表・討論の時間を十分とることによって,学生の主体的交流の形成を促しています.また,IIP部門に関連する技術動向の講義や企業のエンジニアによる講演を通して,大学で得た知識を実践でどのように活用するかを考えることができるように企画を行っています.

  5回目となる今年度は,8月29日から30日の2日間,群馬県水上温泉郷にある「源泉湯の宿 松乃井」において実施しました.参加者は,東京,埼玉の3大学4研究室から学生教員含め59名でした.7月末の参加申し込時には74名の申し込みがありましたが,欠席の連絡が相次ぎ,当日のキャンセルも4名あり,例年に比べて人数が減ってしまったことは残念でしたが,出席された方々には企画に熱心に参加していただき,運営にも協力していただいたおかげで,成功裏に終えることができました.今年度のサマースクールは,以下のようなスケジュールで実施されました.

 

【 8月29日(1日め)】
9:40 新宿駅西口 または 10:10 川越駅西口に集合,バスで移動
13:30 − 15:30 月夜野総合体育館にてオリエンテーション(スポーツ交流) 
その後バスで宿に移動
16:30 − 18:30 IIP関連技術に関する講演会
(参加研究室の紹介,大学および産業界からの講演2件 )
19:30 − 21:00 IIP関連技術の指定テーマ(当日発表)に対するグループ討議
   
【 8月 30日(2日め)】
9:00 − 12:00 前日指定したテーマに対するグループ別発表会
12:15 現地出発,15:30頃新宿駅西口または川越駅西口に到着,解散.

 過去4回の幹事の先生方(電機大・佐藤先生,東洋大・松元先生)のご尽力により,サマースクールの内容はほぼ確立しており,今年度は例年通りのスケジュールでスムーズに進めることができました.

  初日のスポーツ交流では,グループ対抗のソフトバレーボール大会が行われました.ソフトバレーボールは,通常よりも柔らかいボールを使用するため,安全で誰もが気軽に楽しむことができます.研究室や学年の異なる4〜5 名でチームを組んだため,最初は会話がぎこちないところもありましたが,試合が進むにつれて打ち解けてチームの結束力が高まりました.上位3チームには,賞品のお菓子が授与されました.

  宿にチェックインした後,講演会が行われました.まず,参加した4研究室の代表者が研究室紹介を行いました.各5分程度の紹介でしたが,研究内容中心の発表や,飲み会などの楽しい雰囲気が伝わる発表など,各研究室の個性が出て興味深いものでした.

  次に大学からの講演として松元明弘先生(東洋大学)に「マイクロ組立に関する諸問題」 と題してご講演をいただきました.IIP部門と関連の深い磁気ディスクスライダ用の半田ボールの精密位置決めなど,実践的な技術課題と,それを解決していくプロセスをご紹介いただきました.また,佐藤研究室(東京電機大学)のOBでもある,日立アプライアンス(株)太田裕樹様には,「エンジニアという職業を考える」と題して,ご自身のエンジニアとしての経験や,エンジニアに必要な能力,心構えなどについてお話しいただきました.「プロとしてのエンジニア」について学生と一緒に考えていく展開が印象に残り,大変興味深いものでした.それぞれ充実した内容で,45分の講演時間では短すぎたことが反省点として残りましたが,学生のみならず教員にとっても大変有意義な講演会となりました.

  その後,幹事からグループ討論のテーマとして「復興支援のための技術や商品,システムを考える」が公表されました.夕食をはさんで各部屋に分かれて討論を行い,自分たちのアイディアをまとめ,発表の準備を行いました.同じグループでバレーボールを行っていたとはいえ,初対面の学生どうしで研究分野も違う中,戸惑いもあったことと思いますが,短時間の間に意見を出し合い,考えをまとめていました.各部屋の修士学生が先輩として学部生を引っ張り,グループをまとめていたようでした.

  学生たちは一応のまとめが終わった後は,温泉を満喫したり,他の部屋を訪れたりして親睦を深めていました.教員の部屋には入れ替わり立ち替わり学生がやってきて,夜遅くまでは盛り上がっていました.私のところには研究に関する質問をしに来てくれた他大学の学生もおり,サマースクールならではの有意義な交流ができたことは大変うれしく思いました.

  2日めの午前中には,グループ討論の成果発表が行われました.各グループで発表内容が重ならないように配慮したためか,扱っている技術や商品は幅が広く独自のアイディアを出しており,興味深い内容でした.また,今年は例年に比べて学生たちから積極的に質問が出され,有意義な議論を行うことができました.発表終了後に教員からの総評があり,辛口の意見や有益なコメントが出され,学生たちには大きな収穫になったことと思います.

  最後になりましたが,講演会の講師をしていただいた松元明弘先生と太田裕樹様には,この場を借りて厚く御礼申し上げます.また,幹事を担当した工学院大学の工藤君・塚越君は,部屋割り,スポーツ大会の企画,60人分の飲み物・食べ物の買い出し,当日の司会進行など,初めての経験ばかりで大変だったことと思いますが,学生の手によって企画,運営を行っていくこともサマースクールの特徴であり,良い勉強になったことと思います.多くの人々の協力によって,今年のサマースクールも特段のトラブルもなく終了することができました.参加者の皆様に心より感謝申し上げます.来年以降もこのような地道な活動を続けていきたいと考えています.


バレーボール大会


講演会


グループ討論の発表会


集合写真

Last Modified at 2011/10/3