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日本機械学会 教育賞を受賞して
   ─ 大学・企業連携による学生のための集中技術者導入教育 ─

東京電機大学 佐藤太一
東洋大学 松元明弘
湘南工科大学 高橋宏
工学院大学 鈴木健司
東京電機大学 五十嵐洋

  「大学・企業連携による学生のための集中技術者導入教育(通称「IIP部門学生サマースクール」)」の推進に対しまして,2009年度日本機械学会教育賞を受賞いたしました.IIP部門が中心となって進めている地道な教育活動が評価されたことをうれしく思うとともに,本活動を温かく見守っていただいた主査・運営会議メンバーの皆様,ならびに,講師として協力いただいた企業の皆様に改めて厚く感謝の意を表す次第です.

  情報・知能・精密機器(IIP)部門では,2007 年度より,受賞者を中心として標記の教育活動を開始いたしました.本活動は,IIP 部門で活動する研究室の学生70名程度を対象に合宿形式で実施されるものであり,IIP部門の特徴といえる産学協力の元に企画されたものです.

  この活動には,以下の二つの柱があります.

  第一は,「技術者として大学で得た知識をどのように活用していくか」を基本に据えた講義を設定していることです.学生が,大学・大学院から企業へと活動の場を移していくに当って,大学で学んだことをどのように活かし,さらに,どのようなことを学び続けなければならないかを,よく理解しておく必要があります.そこで,IIP 部門に関連する技術の講義を行なって,「産業界の現在」を,まず学生に知ってもらっています.加えて,大学で学んだ「力学」の知識を,技術者として「設計」にどのように活かすか,といった基礎的講義を行なっています.さらには,開発した技術を人に正しく伝達するための「プレゼンテーション技術の実践」といった,技術者に要求される講義も加えています.このような講義は,大学教員だけではなく,企業の方からなされる方が説得力が増します.IIP部門にはこうした話しをしていただける企業の方が豊富におり,企業の方から直接話しを伺う時間を設けています.

  第二に,本活動は「学生の主体的な技術交流」の促進・支援を掲げています.通常の講演会で,学生が発表しても十分な討論の時間が取れずに議論の深化が十分でない場面が多く見受けられます.つまり,時間的な制約のために,講演会というせっかくの機会が十分に活かしきれていないということです.また,講演会が同分野の研究を行う学生が集まる場であるにもかかわらず,学生どうしでディスカッションする場面は非常に少ないといってよいでしょう.つまり,技術的な「学生の交流の輪」が十分形成されていないのが現状です.このような,講演会の十分でない部分を改善するために,本教育活動では,異なる大学・研究室の学生が一つのテーマに対して十分な時間をかけてグループ討議を行い,それをまとめ,発表・討論しています.ここでは,時間的制約がないので納得するまで議論を深めることができます.さらには,異なる大学・研究室の学生どうしの新鮮な意見交換によって学生の主体的交流形成が促されると考えております.このような「学生の交流の輪」のスタートが,社会に貢献する技術者どうしのネットワークに展開することを期待しています.

  最後になりましたが,本教育活動の源泉は,IIP部門の特徴である「産学連携の強さ」にあると思っております.これまでの皆様のご協力に感謝いたしますとともに,今後とも皆様方からのご指導・ご鞭撻をいただけましたら幸いです.また,今年も第4回目のサマースクールが有意義に実施されたことを付記いたします.

以下は,本教育活動・受賞に関係するURLです.
http://www.jsme.or.jp/iip/Japanese/Newsletter/No33/summer-sato.html
http://www.jsme.or.jp/iip/Japanese/Newsletter/No34/summer.html
http://www.jsme.or.jp/iip/Japanese/Newsletter/No36/matsumoto.html
http://www.jsme.or.jp/rep2010hyoushou/shou87.htm#kyouiku2009

 


第1回目サマースクール(秩父・農園ホテルにて)

Last Modified at 2010/11/1