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講習会報告「家庭における情報化・知能化」(2006/1/30)
2006年1月30日、日本機械学会会議室にて、22名の参加者をいただき、「家庭における情報化・知能化」に関する講習会を開催した。
IT技術は、現在ではビジネス面のみならず家庭での日常生活でも活用されるようになっており、生活水準向上を図るために今後益々重要になってくると考えられる。その一方で、IT技術に熟知していない一般の人々が日常的に容易に利用できる本当の意味で生活を豊かにするシステムや製品の技術は未だ確立されているとは言い難い。本講習会は、これらの点を踏まえ、家庭における情報化や知能化の現状と今後の動向を解説していただくとともに、家電や住宅、住環境など新しい家庭における情報化と知能化のありかたを提言していただくことを目的として開催されたものである。
最初に、中央大学の羽鳥光俊教授から「わが国における情報家電製品の開発動向」について講演をいただいた。羽鳥教授は2004年2月から8月にかけて総務省が開催した「ディジタル情報家電のネットワーク化に関する調査研究会」の主査を務められ、この調査研究会の報告内容を中心に解説をいただいた。
続いて、東芝コンシューママーケティング株式会社の一色正男氏から「白物家電ネットワーク化の動向」について講演いただいた。本講演では、東芝から市場投入されたネットワーク家電のシステム、サービス、展開を中心とした解説があり、ネットワーク家電の更なる展開のためには、使い方をより便利にすることや他分野との連携が今後必要になってくることなどが示された。
三番目には東京大学の森武俊助教授から「知能住宅―家庭における知能化」について講演をいただいた。本講演では、森助教授らが構築されているセンシングルームと呼ばれる部屋型の日常生活計測環境での研究成果を中心に講演があり、システムが人の状況を認識して予測できるだけでなく、人がシステムの状態を容易に把握できるシステム、臨機応変に支援ができるシステムのデザインが必要であることが示された。
最後に、早稲田大学の橋本周司教授から「情報技術とメカトロ技術がつくる住環境」について講演をいただいた。本講演では、現在早稲田大学が岐阜県各務原のテクノプラザに開設しているWABOTO―HOUSE研究所での研究事例を中心に講演があり、スマートハウスでの課題、ヒューマンインターフェース、安全性と信頼性、プライバシーとセキュリティ、環境低負荷化などについて解説され、また住環境は、生活を生産するプラントであることが示された。
今回の講演は、いずれも実際の研究調査や実証を伴った内容の報告であり、まさに動き始めた家庭での情報化や知能化に対してまだまだ様々な技術課題があることがご理解いただけたと考える。
貴重なご講演をいただきました講師各位、講習会参加者各位、講習会開催にご協力いただきました関係者各位に心より感謝いたします。