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新部門長就任の挨拶

  福井茂寿(鳥取大・工)

1. はじめに

  2005年4月から、三枝部門長の後任として、情報・知能・精密機器(IIP)部門の10代目部門長を務めることになりました。本年度は、松岡薫副部門長(松下電器)、鈴木健司幹事(工学院大・工)をはじめとする各委員会の委員長および運営委員の方々と協力し、本部門の更なる発展を図りたいと思います。何卒、宜しくお願い致します。

2. 情報・知能・精密機器(IIP)部門の特徴

  情報・知能・精密機器部門(IIP: Information, Intelligent and Precision Equipment Division)の特徴は、既存の学問分野・技術分野を融合・発展させた領域や新領域を大きくカバーしていることです。すなわち、機械工学で基本とされる材料力学、流体力学、熱力学、機械力学等を「縦糸」とすれば、本部門はいわば情報・知能・精密・医療等をキーワードとする「横糸」の位置づけといえ、より産業や社会に近い立場で創造的な活動を進めうる部門であります。

  情報・知能・精密機器部門の大きな分野には、情報機器コンピュータメカニクス、精密機構マイクロメカトロニクス、機械の知能化、医療福祉機器、マイクロエネルギーなどがあります。

  情報機器は、コンピュータの記憶装置などの周辺機器にまつわる研究や開発で、ここ何年もこの部門のいわば牽引車となってきています。しかしながら、これにもまして重要な意味を持つのがマイクロ/ナノ化技術とマイクロメカトロニクス技術、機械のインテリジェント化技術、生体や医療福祉技術等の分野です。さらにはこれらの共通基盤技術としてのマイクロ理工学などの基礎的学理の研究などの広がりは、真の先端技術開発に不可避であり、従来の枠組みで捉えられない新現象の解明と応用は、大学人にとっても企業の研究開発者にとっても、興味の尽きないネタの宝庫でもあります。

3. IIP部門の現状とさらなる活性化に向けて

  ところが、近年の本部門関連の産業分野の技術開発の余りの早さ故に、系統的・学術的な掘り下げが不十分となり、ややもすると学会での自由闊達な議論が希薄になりつつあることも否めません。部門運営にあたっては、益々活発な議論ができる環境つくりに取り組みたいと思っています。以下に、その方策をまとめます。

分科会活動を活発に: 学会活動の基本は、それぞれの構成員の皆さんが興味があるテーマについて色々考え大いに議論することです。そのための最小かつ有効な場として研究会、分科会があり、そこでのアクティビティは学会活動の原点です。現在IIP部門には4つの分科会があり活発に活動していますが、さらに充実した会となるように部門としての工夫をこらし、さらにはその場を増やしていくことを考えています(4分科会)。

講演会・講習会を活発に: 分科会・研究会活動を広げたより広範な議論の場として部門講演会があります。毎年開催のIIP部門講演会での講演数は着実に伸びつつありますが、さらに活発化を目指しています(学術委員会)。また、講習会や出版はタイムリーな話題に関する適切な情報を提供することにより、皆さんへの満足のいく情報提供サービスを目指しています(事業委員会)。

国際化を更に進めよう: 上述のIIP講演会は、来年度(2006年)は3年に1度ごとのアメリカ機械学会(ASME)との共催のMIPE2006講演会となります(MIPE:Conference on Micromechatronics for Information and Precision Equipment)。今やどの学会・部門でも国内での活動だけの存立はありえず常に世界が舞台であり、これまでにも増して国外研究者・技術者との交流と議論が必須です。当部門としてもアメリカ機械学会のISPS部門(Information Storage and Processing Systems Division)と協力関係を維持・発展させており、2006年にはアメリカで、さらに2009年には日本でMIPE会議の開催を予定しています(MIPE2006, MIPE2009)。また、昨年度から検討を開始した英文ジャーナルについてもいくつかの部門と合同で発刊の準備を進めており、日本からの研究成果がいち早く世界に広がることになります(編集委員会)。

情報発信を更に進めよう: インターネットにより、距離と時間が克服され、多くの知識と情報を外から得ることができますが、実はこちらからも新しい情報を常に発信することは非常に重要であり、力を入れていきます。また、メール等を通じた会員への有用な情報提供にも努めます(広報委員会)。

部門の和を広げよう: 部門の特徴でも述べたように、当部門は様々な分野(部門)との融合を図ることにより、その存在価値がより高まります。様々な部門の研究者技術者に本部門に参画して頂くことは大変重要です。なお、機械学会での部門登録数がこれまでの3つから5つに増えています。これは多くの部門にまたがる技術課題がますます増えていることの証左でもありますが、皆さんの周りの方々に当部門への参画と登録をお勧め下さい。

  会員諸兄のご協力をお願い致します。

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