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情報マイクロ/ナノシステムのナノトライボロジーとダイナミクスに関する分科会


主査 福井茂寿(鳥取大学)
幹事 徐 鈞国(日立製作所)
    松岡広成(鳥取大学)

 今年度から、IIP部門に表記の分科会が発足致しました。コンピュータ用ハードディスクなどで現れるナノメータ領域のトライボロジーとダイナミクスを主な対象とし、さらにはその共通技術のバイオ技術などへの展開をも模索しようとするものです。本稿では、分科会の活動をご紹介し、広く分科会への参加をお願いするものです。まずは、分科会の目的と調査研究項目を設置申請書の記述に従ってご紹介します。

(分科会の目的)

 21世紀には、産業構造,社会構造に大きな変革をもたらす基盤技術として、情報技術(IT),バイオ技術等が注目されており、これらを支援する共通基盤技術として、ナノテクノロジー(NT)の発展が期待されている。すなわち、情報技術やバイオ技術を支える共通的な機械的要求条件は、マイクロナノ領域の微細な相対運動を、超高精度かつ安定に実現することであることから、情報機器,バイオ機器等が、ナノテクノロジーの具現化の対象として有望である。

 情報技術のうち、高度情報化の進展に伴って情報蓄積への要求はますます増大し、とりわけ磁気記録装置では記録密度の向上や入出力の高速化・高精細化が急速に進んでいる。この磁気記録装置では、高記録密度を実現するために、ヘッドと媒体のすきまがナノメータまで微小化され、運動量よりも表面効果が支配的な領域に達しており、分子・原子的な観点から、ヘッド媒体インタフェースの相対運動に伴う現象について解析分析するとともに、構成要素を設計評価することが重要な技術課題になっている。さらにはナノテクノロジー関連のバイオ機器等の関連分野における共通基盤技術との融合は非常に重要である。そこでこの分野の研究者と開発設計者とが共通の基盤に立ち、研究調査と情報交換を行うことにより、当分野の発展に資する。

(分科会での調査研究事項)

  1. ヘッド媒体インタフェースの構成法
  2. ヘッドスライダ設計と分子流体潤滑シミュレーション
  3. 分子層液体潤滑剤の膜形成とマイクロ流動とその計測・評価分析法
  4. コンタクトインタフェースのマイクロダイナミクス
  5. 情報ナノシステム、バイオナノシステム等先端機器におけるナノテクノロジー

  すでに第1回の会合を、去る2004年7月2日(金)に東京工業大学で開催しました。約30名の方にお集まりいただき、以下に示す3件の講演と研究室見学を行いました。

(1) 「情報マイクロ/ナノシステムのナノトライボロジーとダイナミクス」
福井茂寿(鳥取大学)

  • 分科会の位置づけ,概要,分野の展望
  • トライボロジー分野における原子・分子レベルのアプローチの重要性
  • 計算科学技術の現状
  • バイオ技術への水平展開(μ-TASなど)、など。

(2) 「ミクロスケール熱流動解析:潤滑液膜の分子動力学シミュレーションと電気泳動マイクロチップ内のイオンの挙動」
小原 拓(東北大学)

  • 固体壁間でせん断を受ける極薄液膜
  • 速度ジャンプ,液膜内速度勾配,輸送現象などのMDによる計算
  • harmonic mismatchによる固体・液体間のエネルギー伝達の劣化、など。

(3) 「Effect of Tribocharge on Lubricant Distribution」 
Mike Suk(Hitachi Global Storage Technologies, HGST)

  • トライボチャージによる潤滑膜のMogul分布の誘起
  • トライボチャージに対する湿度の影響
  • 湿度・チャージ・Dischargeの複雑な関係とMogulへの影響、など。

(4) 研究室見学:東京工業大学 小野研究室

 第2回は、9月8日(水)に年次大会(於北大)の会場で開催の予定で、最近話題のトピックスとして、ミニシンポジウム「浮動ヘッドの浮上状態は予測可能か」ほかを予定しています。

今後も3〜4ヶ月に1回のペースで会合を開催し、講演と討論、見学などを行っていきたいと考えています。また、日本トライボロジー学会第3種研究会「ファイル記憶のトライボロジー研究会」(主査:多川則男(関西大学))との合同会議も適宜開催し、学会間の交流と情報交換を行う予定でおります。

 分科会への参加登録は引き続き随時行っておりますので、皆様の積極的なご参加をお待ちしております。また、本研究会は委員以外の方にもオープンですので、奮ってご参加ください。関心のある方は、下記までご連絡ください。

主査 福井茂寿(鳥取大学) fukui@damp.tottori-u.ac.jp
幹事 徐 鈞国(日立製作所) xu@rd.hitachi.co.jp
松岡広成(鳥取大学) hiro@damp.tottori-u.ac.jp

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