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部門長退任にあたって
多川則男
関西大学工学部機械工学科
この3月末をもって情報・知能・精密機器部門の第81期部門長を退任することになりました。この間、部門運営委員や代議員、および主査会議メンバーの方々を始め、部門登録していただいている皆様には非常に多くのご支援ご協力を賜りました。ここに厚く御礼申し上げます。お蔭様で無事、三枝省三新委員長(鞄立グローバルストレージテクノロジーズ)に引き継ぐことが出来ました。本当にありがとうございました。
2.第81期の部門活動と今後に残された課題についてさて私が丁度1年前に部門長に就任するときに大きく3つの重点項目を上げました。それらを申し上げますと、「新機軸を取り入れた部門の活性化」、「国際的な情報発信の推進」そして「会員の皆さんへのサービス充実」であります。これらは学会の部門の持っている3つの役割すなわち、(1)学術研究の活発化、(2)一般社会・産業界への貢献、(3)会員へのサービス、これらを十分認識しベースとしながら、同時に「停滞」して何となく伸び悩んでいた部門の状況を打破するために掲げたものです。これらの目標が十分実現・達成されたかどうかは会員諸兄がご判断されるところですが、今後に残された課題も含めて自分なりに総括してみたいと思います。
まず「新機軸の取り入れによる部門活性化」ですが、これまでの情報機器技術、精密機構マイクロメカトロニクス、マイクロエネルギー、生物医学工学、機械知能化の5つの分野に加えて、ナノテクノロジーを指向した「マイクロ・ナノ理工学」および「熱問題と実装技術信頼性」の分野を、機械学会の他の部門との横断的な連携で新たに部門講演会や年次大会にオーガナイズセッションとして設けました。また今年の部門講演会においては積極的な研究発表を促進して、講演数も従来比2倍の100件にはとどきませんでしたが、トータルで70件となりました。このような状況の変化が生まれてきましたので、それに対応して、これまでの情報ストレージを中心とした情報・知能・精密機器に関する部門から、マイクロ・ナノシステムの科学と技術を対象とする、より広い分野を包含するアクティブなトランスディシプリナリーな部門へと発展していっていただきたいと思います。また一方、部門活性化を行うとともに会員の皆様に役に立つ部門にするためには、部門の中に多くの研究会を組織化して活動することが重要であると思います。そのための方策についても部門主査会議などで議論いただきましたが、必ずしも研究会が新たに発足するという成果が得られるところまでにはいたらず、今後に課題を残しました。さらに部門活性化に関連して、部門講演会での企業側からの研究発表が少なくなってきているという傾向が最近顕著に見られます。当部門は会員の皆様ご存知のように、企業側の会員数が極めて多く、従ってこれまで研究発表も企業から多いというのがひとつの特徴と認識しておりました。それが最近、事情が少しずつ変わってきています。この辺も部門活性化のための今後の課題として残されました。
国際的な部門の活動としては、初めて当部門がASMEのISPS部門とコラボレーションして「情報精密機器のマイクロメカトロニクスに関する日本・米国機械学会合同会議」を横浜で開催したことをあげることができます。名古屋大の三矢教授を中心とした実行委員会のご努力で、多くの研究発表と多数の参加者があり、大成功を収めることが出来ました。これにより成果を「国際的に情報発信する」とともに、部門の財政基盤をも構築することができました。なお本会議は、今後定期的にASMEと合同で3年ごとに日米交互開催していくことが決められています。
「会員の皆さんへのサービス」に関しましては、部門講演会や年次大会の充実、定例の講習会の企画・開催を行うとともに、今年からニュースレターの発行形態を変え、部門ホームページに掲載するWeb化を行いました。これにより、より多くの会員の皆様にタイムリーに部門活動をご紹介できることとなりました。今後、部門ホームページの充実とともに、ますます発展させて行ってほしいと思います。なお、ニュースレターのWeb化は会員の皆様が自発的かつ積極的に部門ホームページにアクセスしていただくことを基本としています。従いまして、会員の皆様には当部門のホームページに是非アクセスしていただくことを熱望いたします。
3.終わりに1年間という短い間でしたが、課題を残しつつも、部門長として楽しく仕事が出来ました。これも偏に皆様のおかげと感謝いたしております。今後は当部門の一員として部門活動に参加して参るつもりです。どうぞ今後ともご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。最後にこれまでの会員の皆様のご支援・ご協力に感謝申し上げて部門長退任の挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。