部門長退任のご挨拶

第76期,第77期部門長
山田一郎
日本電信電話(株)

はじめに

この二年間は長いようで短かったですが,無事に,長南新部門長に引き継ぐことがで きて,正直なところホッとしています.さて,機械学会は第二世紀に向けて新しいス テップを踏み出しましたが,学会財政の再建や本部組織の改編,さらには,部門への 権限委譲などの様々な改革が進行中です.この二年間,部門長を務める中で,機械学 会や情報・知能・精密機器(IIP)部門の活動について色々と感じたことを,反省を も含めて率直に述べたいと思います.

さらに活発な学術講演会をめざして

  部門が主催する学術講演会が活発に開催されるようになり,1999年度から学会全体 の学術講演会が,原則として7月に開催される年次大会に一本化されました.これに 伴って,当部門が夏に開催していたIIP講演会をどうするのかが問題となりました.

 当部門と関連の深いロボティクス・メカトロニクス部門,機械力学・計測制御部門, 機素潤滑設計部門の部門長とも意見交換を重ねる中で,より大きな学術講演会として 発展させることも検討しました.しかしながら,これは時期尚早ということになり, 結果として,現在のように,IIP講演会を3月に単独で開催し,他の三部門とは年次 大会の合同企画で積極的に連携することになりました.部門にはそれぞれに異なる事 情があり,これは現実的な着地点ではありましたが,部門の壁もなかなかに厚いもの だと妙に感心した次第です.

  余談はさておき,IIP講演会は,3分間の口頭発表とポスター発表とを併用する新 しい講演形式の採用,部外講師による特別講演の実施,マイクロエネルギーや生物医 学工学における計測と制御といった新しいオーガナイズドセッションの構成などで, 最近では50〜60件の講演発表がコンスタントになされるまでになってきました.学術 委員会の努力に大いに感謝するとともに,今後も,新しい領域をどんどん発掘してい って欲しいと思います.

  一方,年次大会での合同企画については,まだ定着したとは言えません.しかしな がら,当部門は上述した三部門とは技術的な関連も深く,部門登録者にもかなり重複 が多いので,年次大会での合同企画は,会員サービスとしても,非常に関心の高いも のになると思います.

  今後は,IIP講演会,年次大会での合同企画での実績を十分に上げて,将来的には ,より大きな学術講演会へと発展することを期待しています.

部門活動への積極的な参加を

  事業委員会の懸命な努力もあって,講習会でも,この不況の中にあっても40〜50名 の参加者を確保しており,当部門の財政に余裕を与えてくれています.しかしながら ,当部門の登録者数が約4400名(20部門中10位)であることを考えると,その割には ,学術講演会や講習会などの部門行事への参加者数が少ないのが問題です.言い換え れば,部門行事への参加率が今一つ低いのが問題なのです.前述したように,当部門 はロボティクス・メカトロニクス部門,機械力学・計測制御部門,機素潤滑設計部門 と技術的に関連が深く,結果的に,部門行事への参加者を奪い合うことになるという 構造的な問題も抱えてはいるのですが,…….

  一方では,財政再建の一環として部門事業の独立採算化も検討されており,部門行 事の収益向上が必須な状況になりつつあります.

  したがって,今まで以上にIIP部門の独自性を明確にし,IIP部門の特徴を生かした 学術講演会や講習会を企画する必要があると思います.これまでの活動が十分でなか ったことを反省するとともに,次の運営委員会メンバーに大いに期待するところです .また,会員の皆さんには,一歩進んで,IIP部門の活動に直接に参加されることを お願いします.

むすび

  最後に.1998年度には,懸案であったIIP部門のホームページ(http:// www.jsme.or.jp/iip/)を開設することができました.これは広報委員会の活躍によ る大きな成果ですが,現在では,英文ホームページの開設も進めております.学会の 役割が,学術研究の活発化や産業界への貢献であることには疑問の余地がありません が,今後は,世の中へのタイムリーな情報発信も重要と考えます.IIP部門のホーム ページを大いに活用したいものです.

  二年間のご協力に感謝します.どうもありがとうございました.今後もIIP部門の 会員として活動していきたいと思いますので,よろしくお願いします.

Last Modified at 2000/6/13