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![図1 こいのぼり](no1s.jpg) 図1 こいのぼり
![図2 ビア樽](no2s.jpg)
図2 ビア樽
![図3 MiG15構造図](no3s.gif)
図3 MiG15構造
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2.鯉のぼり
いつも鼻づらを竿の先に結びつけられている鯉のぼりも,たまには空を自由に飛びたいだろうと思い,ダクテッドファンを組みこみゴムを動力源にして作ってみた(図1).何年か前にビア樽(図2)にダクテッドファンと主翼,尾翼を取り付けて飛ばしているので,鯉のぼりも簡単に行くだろうと思ったのが大間違い.大分長い間推力増加を期待してファンブレードの形をいじくり回してもらちがあかず,ようやく気がついたのがダクトロスだった.ビア樽のときは胴長がファン外径の1.4倍しかなかったのに,鯉のぼりの場合は3.5倍になっていた.胴の内面は構造部材で凸凹があるので薄紙を貼ってダクトロスを減らすようにしたが改善されなかった.
庄内ピーナッツ(模型界では世界的に著名なグループ)の鈴木一弘氏がピーナッツサイズ(翼幅33cm)のMiG15戦闘機にゴム動力ダクテッドファンをつけて(図3)1999年に28秒の滞空成功という事実を知り,しかも胴体最後尾にあるファンの直前に,胴体の下方から空気を吸い込むための大穴をあけているのを知って驚きかつ感心してしまった.機首からファンに至る直進通路の方が,ファン直前下方から吸いこみ90°方向変換してファンに至る通路よりもダクトロスは小さいだろうと思っていたが全く逆だった.流速が小さいため長い直進通路の内面摩擦損失よりも,曲り損失の方が小さいらしい.ピア樽の場合は直進通路が短いために何とか助かっていたということだろう.
主翼の平面形状はビア樽のときのように普通の飛行機の形では面白くないので,吹流しをイメージして胴体の両側に矩形の翼を取付けた.無尾翼機の一種である.胴体下面に設けた大穴によって鯉のぼりはようやく飛んでくれた.といってもベストタイムで18秒ではあるが. 3.空飛ぶじゅうたん
矩形の無尾翼機で空飛ぶじゅうたんを作ったことがある.ゴムでプロペラを回し発砲スチロールのブロックから削りだしたスヌーピーとウッドストックの小さな人形を乗せて(図4)フワフワ飛ぶ.別に室内用のじゅうたんを作り近くの教会のクリスマスイベントでツリーの周囲を1周半ほど飛び,子供も大人も大喜びしてくれたのは三年ほど前のことである.図5において,はじめはじゅうたんらしくB/A≒0.7にしたかったが,ペーパーグライダーでテストしてみるとB/A<1ではうまく飛ばず,B/A≧1でよく飛んでくれた.鯉のぼりもじゅうたんもB/A≒1.4で作ってある.
飛行機達の横安定は通常左右の主翼に上反角をつけて得られる.しかしじゅうたんの場合はどうにもつけにくいのでつけなかった.その代りに翼の下面にある細い角胴(桧棒)と動力ゴムの存在が一種の衝壁となり横安定の役目を受け持ってくれているらしい.その意味はこうである.図6において機体が左に傾くと左下方へ横すべりする.C部に横すべりによる流れがせきとめられて静圧がD部よりも高くなり,左翼をもち上げる復元力となるらしい.下方につけた垂直尾翼もその役目の一部を担っていると思う.これは主翼の縦横比が小さいとき(図5でB/A<4)に効果があり,大きく(B/A>4)なるとほとんどなくなるようである.スケールモデルでは実機よりも上反角を大きくしないと横安定が悪くなるのが通例である.しかし余り大きくするとスケール感を損ない,競技会でもスケール点を減点される場合があるのでなるべく実機に近づけたい.そのため出来上ってからテストフライトでもっと大きくするべきだったと後悔することがしばしばある.しかし大手術をするのも嫌なので私は両翼端に目立たないように透明な衝壁を立てる方法をとっている.一種のカンニングである.図7において機体が左に傾き横すべりを始めると,C点は流れがせきとめられ静圧がD部よりも高くなり復元力となるらしい.この方法は図6のときと違って縦横比の大きい場合に対し,より有効だろうと予想しているがキチンとした比較テストしたことはない.すでにちゃんと理論づけされていることだろうと推察するが,私は趣味の実験で実感し利用している.
![図4 空飛ぶじゅうたん](no4s.jpg)
図4 空飛ぶじゅうたん
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![図5 じゅうたん見取図](no5s.gif)
図5 じゅうたん見取図
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![図6 中央衝壁の効果](no6s.gif)
図6 中央衝壁の効果
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![図7 翼端衝壁の効果](no7s.gif)
図7 翼端衝壁の効果
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